「灰色の花」「君と僕のうた」


今、リチャード・ドーキンスの「虹の解体」という本を読んでます。
こないだ「NIJIの詩」について書いた時のネタ本です。これがもう面白〜い。
ニュートンが虹を7色に分けた時、同時代のロマン派詩人たちは「虹の持つ詩情を破壊した」と彼を責めたそうなんですが、そこんところを現代の科学者である著者が、科学のはらむセンス・オブ・ワンダーを詩人の言葉で語ってくれているんですね。丁度それは、コーイチくんの不思議世界が剛っさんの言葉で説明されているような、わかりやすくとても美しい本です。


「灰色の花」と「君と僕のうた」を聴く。
ふむ。なんだか「Time」とのカップリング曲にしては地味〜なかんじ。というかJ-albumの延長=レトロ路線っぽい。言葉の選び方といい、メロディといい、アレンジといい、やけに歌謡曲チックなバラードなのね。特に「灰色の花」は。
去年KinKiファンになりたての私の初購入アルバムが「J」だったんだけど、その時の正直な感想が「やけに古臭い言葉がちりばめられているけど、これがKinKi Kidsに求められているものなの?」だった。
でもよく考えてみたら、彼らの(というか事務所的な)ターゲットは20〜30代前半くらいの層。その「レトロ」をリアルタイムで生きていた層には古臭くても、若い彼女たちにとってはまた未知の新鮮なボキャブラリー群だったんだろうなあ、と納得。


でもこの「夜の帳(とばり)」とか「月影忍んで」なんてのは、私たちにすらレトロなボキャっすよ。昭和ムード歌謡の世界(汗)。通信手段が「手紙」とかね。彼らのファンに年賀状以外に今年肉筆の手紙を書いたなんて人はいるのだろうか。ま、だからこそドラマが香り立つのだろうが。
彼ら自身も「現実的だけど幻想的な曲」「きれいな詞」とか言ってるし。なるほろ。


「Time」はどの記事を読んでも「KinKi新境地!」なんて書かれてるけど、これは方向性をこっちに定めたということなのか、それとも単に「芸の幅」を広げたということなのか。正直、そこんとこがなんだかよくわからないつーか、読めないカップリングだなー、とも思った。
「J」の時もそれは顕著だったけど、一枚の中に二つの方向性が混在している気が。これは批判ではなく、私は自分がまだKinKiシロウトだってことよくわかってるから、ピュアな疑問として、この二つの流れはなんだろー、と思うんですね。剛っさんとコーイチくんの趣味の違い?それともKinKiと事務所側の方向性の違い?
でも、「Time」って実は「Family〜ひとつになること」の前からあった曲だそうだし、「君と僕のうた」なんかも季節が冬っぽいし、もしかしたらこの3曲は「J」に入るかもしれない曲だったのかな。「J」っぽいのはそう考えると納得がいく。


ファンの方々のブログでは「君と僕のうた」が一番「KinKiっぽい」という声が多い。これは昔から時系列に沿って、彼らの成長を見てこなかった人間にはよくわからないところ。やっぱり優しく暖かい「ほっこり」系のものを彼らに求めているファンって多いのかな。でも「Time」についても「かっこいい!」という声が大多数なので、KinKiの楽曲には寛容と言うか、アーティストとしての冒険とか新しい展開を期待しているファンも多いんだろうと思う。実際、ああいうタイプの難しい曲を歌えるのってKinKiだけだと思うし。J-POP界を見渡しても他にいない気がする。


という私はどうなんだと問われたら、そうよなあ、やはり「Time」方向を少し極めてみたらどーかしら派かな。音的にもビジュアル的にも好きなんで。もともと私はアーティストではなく、「音」で選ぶタイプ。かっこよければ何でも聴く。もちろん詞の世界も大事だけど、まずは「音」。長い経験から言わせてもらうと「うっ、イカすっ」と思ったサウンドには、やっぱりイカす詞がくっついてるもんなのだ。とんでもないハズレというのは逆にあり得ないと言っていい。
「K」は一体どんなアルバムになるんでしょ。いい意味で想像を裏切って、「J」の内省的な世界から「新しい世界へ」歩き出してほしいですねー。


しかし、剛っさんの声ってKinKiの時は見事に「KinKiの剛」の声にスイッチが切り替わるかんじ。ちゃんとアイドルの声になる。多分彼はイメージトレーニングとかよく効く人なんだと思う。巫女体質というか、「入りやすい」のね。苦もなく細かいディテールを演じ分けられる。
でも間違いなくどれも彼自身なのだ。彼が思うよりもずっと。


おまけ。
昨夜のMステ。おでこ全開のタンタンヘアの剛っさん、かわいいっ。オトコマエっ。今朝の「王様のブランチ」でのスタイルより、ちょっと前髪立てたあのかんじ、似合うわあ。少し前に松潤がやってたリーゼントっぽいスタイルなんかも剛っさん似合いそうだなーと思っていたのだけど。
ただ、おでこ全開で露出度の低いコーイチくんの横に立つと顔が大きく見えてしまうのよねー。実物は小顔なのになー。
ヘアスタイルに於いてもまた新たな境地を開拓していっていただきたいものです。