「輪郭-le contour d'amour-」


昨夜の「新堂本兄弟」にて、「変わったかたちの石」の多分今回最初で最後であろう、TVで二人の歌う姿が披露された。
聴けば聴くほどに味が出る正真正銘のスルメ曲だけに、こうしてファンではない一般の方に聴いていただける機会がないのは本当に残念!せめても、とここじゃ聴けないのにも関わらず、ラジオ番組なぞにせっせとリクエストなどしてみる。


その新曲のカップリング曲「輪郭-le contour d'amour-」。
何度も聴いているうちに好きになった。今回の収録曲の中では一番キャッチーな曲。私はふたりの切なく伸びるユニゾンが好きだから、それが存分に聴けるこの曲がやっぱり耳に残ったのかもしれない。ここでは、コーイチくんの声が前に出ていて、歌詞の「闇に包まれても そこにちゃんとある ずっとある 愛の輪郭」的に剛っさんの声が背後からそっと寄り添う奥行きが感じられる(わぉ)。
それにしても改めて思う、このユニゾンの素晴らしさ。いつだったか彼ら自身が話していたように、「ひとりが歌っているように聴こえてしまうので、わざわざ編集で少しずらしたりすることもある」くらい、彼らの声はぴったりと重なり合い溶け合い、まごうことなくひとつに、「KinKi Kids」の声、になる。


しかしこの曲、歌詞を見るとなにやらビミョーな世界が展開している。男は待つ身。月に一度の女からの連絡を待っているだけの、女にとっては「都合のいい男」。逢うのは嬉しいけどつらい。でも断れない。と、恋焦がれるのも、男。「宝石をちりばめて」のやはり女に翻弄される男を思い出す。ふた昔くらい前、マイケル・ダグラスが「女に手玉に取られる役をやらせたら世界一」とか言われていたけど(私の周りだけか)、まさにKinKi Kidsの世界もその様相を呈してきた。彼らの声は切なく一途で、どうにもそんな物語がハマりまくってしまうから、仕方ないのだけど。←で、済ませる。


思えば、そうやって自由に連絡を取り合えない関係、状況って今はないと言っていい。携帯電話というものができて以来、世の恋愛事情というものは劇的に変わった。「逢いたいのに逢えない」「声を聴くことすら叶わない」「すれ違い」なんていう、それまでの恋愛の盛り上がりに欠かせなかった妄想を育てる時間、スリルとサスペンス、ジレンマなんてもんが、すっかりなくなってしまった。
    

   み空行く 月の光にただ一目 相見し人の 夢にし見ゆる


その人が夢に現れるのは、その人の魂がこちらを訪ねてくるから。そう信じて、一度しか逢ったことのない人を想い続けこんな歌をうたっていた頃や、毎日ポストを覗いては手紙の返事を何日も待っていた頃と比べたら、「SMSのリプが遅い!」と怒るなんて、なんだか随分ヤボな気がする今日この頃。KinKiの振り回されぶりが切なくていいわ、なんて言ってるのは、待つことで想いをますますつのらせたあの頃を思い出すからかもしれない。