堂本剛、そのフェロモンの行方


長い髪の似合う男が好きだ。                  


でもロングじゃなくて、肩に付くくらいのワイルドなかんじ。少し不精ヒゲがのびていたりするとなおよい。
こんなところに住んでいると北欧系の金髪碧眼の美しい男も周りに掃いて捨てるほどいるけど、それよりもワイルドなラテン系男子に、顔にかかる黒髪を無造作にかきあげながら、くるくるとよく動く大きな黒い瞳で微笑まれたりするとおばはんはもう瞬殺されてしまう。


と、こんな「誰も聞いてねえし」的なことを唐突に言い出したのは、動画サイトで探し物をしていて、まさにそんなかんじだった頃の剛の姿に出くわしたから。      それがもう、目がくらむほどセクシーだったのだ。


多分24歳前後、珍しくアゴにまで不精ヒゲを生やした彼が微笑む、そのまだ少年っぽさの残る瞳の奥から立ち上る、むせかえるようなオスの匂い。Tシャツにデニムという最近ではあまり見かけないごくシンプルなスタイルが彼の野性を際立たせる。無防備な姿の、堂本剛。
そして時は流れ、現在の古着、レディースものをまじえたあの奇抜なファッション+カリメロ頭。もう結構長いことやってるから、その意味では世間的に違和感は薄れていってるんだろうが、今一度考えてみたい。なぜ「あえて」あのスタイルなのか。


4、5年前のある番組で「可愛いヘアにしてるときはよく(女性から)声がかかる」と、暗に「中身じゃなくて外見に食いつく女」への嫌悪を語っていた剛。そしてその後めまぐるしく変わるヘアスタイルは、何が一番女子ウケが悪いかのリサーチではなかったかと思われるほど、似合わない、あの両サイド刈り上げショートのカリメロスタイルに落ち着く。「NYでは最新のスタイルやで」、彼がそういうのを聞いたことがあるが、彼ほどのナルちゃんが明らかに似合わないスタイルに「流行だから」と安易に飛びつくわけがない。何か裏がある。


男のフェロモンというのは皮脂に含まれているらしい。特に大きい皮脂腺のある顔や頭からは大量の皮脂が分泌され、髪の毛やヒゲがその匂いをより長くキープさせ、メスに向けてより濃厚に発散させる役目を果たす。となれば、女たちが男の長い髪や不精ヒゲをセクシーと感じるのは当然であり、ただでさえダダ漏れるフェロモンに女が寄ってきてしゃあない堂本剛にとっては甚だ不都合なものであることに間違いない。


そう、あのどんどん短くかつ変になるヘアスタイル、そしてもはや無法地帯と化したファッションは、彼のフェロモン制御装置。女たちへの「これでもオレが好きか」という皮肉な問いかけであるとともに、邪悪なものに「ここから先は入ってくるな」と言う「結界」でもあるのだ。


※でも鼻の下にヒゲ生やしてるじゃん、と言う方もおられようが、あれは「変」という負の視覚効果はフェロモンの力にも勝ることを彼がよくわかっている証拠である。


あえて崩し、あえて抑え、結界を張ることでどの程度彼の人生が守られているのかはギモンだけれど、やっぱ女の念ってオソロシイもんね。数珠くらいじゃ守りきれないか。だからああして「ほんとうのオレを愛してくれえ」と叫びながら、フェロモン制御装置のついた鎧を今日も纏う堂本剛なのだ。