拓郎さんからの招待状


剛さんが、拓郎さんのトーク番組「YOKOSO」にゲスト出演することに。


「吉田拓郎 YOKOSO」
2013年9月11日(水)21:00〜21:59 NHK BSプレミアム
ゲスト : 堂本剛    語り : 高見沢俊彦


今回3回目になるこの番組、第1回のゲストが沢田研二さん、第2回が高橋真梨子さん。
Youtubeに沢田さんの回があると教えていただいて観てみると、これがもう面白いのなんの。バーのカウンターに拓郎さんとゲストが座って、「えっ、そんなこと話しちゃっていいの!?」というような話もサラリと交えて、CMなしの1時間ガッツリ大人のトーク。こないだ拓郎さんと坂崎さんのオールナイトニッポンGOLDに出演した時は、剛さんの「人生を語らず」のカバーをベタ褒めしていた拓郎さん。今回は「瞬き」の発売日だけど、その話だけにとどまらず、じっくりと剛さんの人生の深いところに切り込んだお話なども聞けそうな予感。
それにしても沢田さんと拓郎さんのトークがえらく興味深かったので、かいつまんでご紹介。


拓郎 「僕は沢田研二という人が生涯気になっている。大学生の頃、広島でタイガースのショーを観た。ビートルズのように女の子がキャーキャー絶叫しているのがうらやましかった。僕にとってオーラの塊みたいな人。沢田研二はこんなに長い間ずっと沢田研二であり続けている。ボブ・ディランか沢田研二か。だから、この番組の企画が上がった時、一番にお会いしたいと思った。
最近は、ひと頃歌っている姿をお見かけしなかった頃と比べると、結構歌われてますが。」


沢田 「(ライブは)本数できなかった。お客が入らなくて。中途半端な年齢だったから、とにかく自分の好きなことをやって当たる時まで待とうと思った。小さいところでやると落ち目とか言われるけど、大きくてガラガラより、小さくても満員にできるところでやっていた。60になった時、懐メロ歌手と呼ばれてもいいや、と覚悟を決めて。でも、その頃からまた仕事が増えた。
それにTVに出ようにも歌番組もなかったし、出るとなると誰かと一緒にコラボしてくれと言われるのも、あまり・・。Music Fairも一人でやらしてください、って言ってたんだけど。TVは自分のことを好きじゃない人も観てるけど、ライブは好きで来てくれる。そういう場所を大事にしないといけないと思っていた。」


拓郎 「70年代フォークやニューミュージックをどう観てましたか。」


沢田 「僕も拓郎さんのライブを観に行ったけど、うらやましかった。勢いがあって、自分で曲を作っていたし。それと、客席の男性の多さも。キャーキャー言わないで、ちゃんと聴いてくれているかんじがよかった。
自分のコンサートでは騒ぐだけで聴いてくれない客といつもケンカしてた。「聴けよ!」って。特殊と思われるのが嫌で、普通でありたいと思うから、外でも騒がれるのも嫌だった。それは今もファンに言い続けてる。ファンにだからこそ言う。


若い時は60になったらもうやめてると思ってた。いずれ歌えなくなったらやめればいいと思ってたし。自分ひとりでは何もできなくなって、他人の担ぐ神輿に乗せてもらって、自分をよく見せるのは自分で許せない。汗をかくのが好き。楽な仕事はしたくない。」


ああ、ここにも職人がいる、というかんじ。テッパンのアイドル性と歌唱力を併せ持ち、様々なジレンマを抱えつつ仕事にこだわり、レコード大賞のことをサラッと「パワーゲームでしょう」と言い切る、アーティストとしてのプライドを持った人。
変な言い方だけど、沢田さんは剛さんの「元祖先達」なんじゃないだろうか。どんなに頂点を極めた大スターでも、長い人生の中には浮き沈みがあり、彼の体験したことはそのまま、剛さんがこれから出会う試練ともなり得る。


そして今回、拓郎さんが同じ番組に剛さんを招待したのも面白い。
拓郎さんって不思議な人だ。子供のように純真で屈託がなくて正直で、ちょっとミーハーで。その魅力でゲストからいとも簡単に本音を引き出していく。こうなったら、師匠の権限を限界まで行使して、剛さんにはこれまで誰も聞いたことががないような質問もして欲しい。
デビュー前からずっと剛さんを観続けてきた人の目に、今彼はどんな風に映っているんだろう。