カバを待つひと


関東ではもう桜も散ったとか。
カバの発売決まったらなんか気が抜けたというか、特設HPの剛さんのオトコマエっぷりにすっかり尻子玉抜かれたというか、春先の激しく不安定なここの気圧配置にも影響されて、ちょっとぷにゃっとしている毎日ですが、皆様はいかがお過ごしでしょう。
1週間だらだらしてしまった言い訳と時節のご挨拶を兼ねてみました。


ところで、明日4月4日は「KinKi Kids結成20年」の記念日。それまで「KANZAI BOYA」だったのが、1993年のこの日、「キスした?SMAP」第1回放送にて、正式に「Kinki Kids」として紹介されたのだそうで。で、「KinKi Kids」と「K」の字が全部大文字になったのが1994年末。なんとも出世魚的なめでたさ。


昨日も「火曜曲!の歌謡曲!昭和と平成の国民的名曲スペシャル」なんてものを観ていたら、「筒美京平の名曲メドレー」に「やめないで,PURE」も出てきた。そうそう、あれは筒美さんなのだっけ。彼の作曲家としての売上げTOP10の9位に入っている大ヒット曲。1位はジュディ・オングの「魅せられて」。
そういえば、最近本当によくジュディ・オングを見かける。それだけどこの局も「昭和・平成の歌謡曲SP」をやっているということだろう(それをまたせっせと観ているわたくし)。きょうび、映像はYoutube等でいつでも観られるけど、ヒマだとつい。ちなみに昨日イチの驚きは、「『喝采』の時のちあきなおみが25歳」。


しかし、なんなんだろう、このニッポン怒涛の歌謡曲懐古祭り。司会の中居くんが、現役歌手のくせにコロッケさんと一緒になって「この頃の歌は心に響きますねえ」とかやっていて、観ている方が苦笑い。昨今のカバーアルバム流行りといい、なんだかもうJ-POP終了の蛍の光が聞こえてきそうだ。


簡単に言えば、やっぱ歌謡曲は豊かなのだ。音も世界観も。外から入ってきたいろんな文化が複雑に交じり合って、ほとんどエキゾチックなほどに無国籍感満載。ネットやTVからタレ流される情報のなかった昭和の時代に、外の文化に心躍らせ目を凝らし耳を澄ませた人たちのつくった音楽。そこには戦後の復興からひたすら右肩上がりだったニッポンの姿そのままに、未来を疑うことのないナイーヴな純粋さに裏付けられた(こんなチャチな言葉を使いたくはないが)無敵の「夢と希望」に溢れている気がする。


ある音楽プロデューサーの方が言っていた。
「海外のレコード会社の担当と話をすると驚くほどマニアックな人が多いのに、日本はサラリーマン社員が多くて音楽を知らない人も多い」。
要は「好きなこと」を仕事にしているかどうかだと思う。歌謡曲の制作側にいた人たちは、あの時代の新しいモノ好きな音楽マニアであり、自分の「かっこいい」を追求することに迷いがなかった。
何かで読んだが、当時レコード会社の社員は縁故採用が多く、好き好んで音楽をやろうというような人は、ほとんどが子供の頃からレコードやステレオが家にあったような、裕福な家庭のぼんぼんだったそうな。だから、好きなことのために薄給でも夢中で楽しんで働けた。そういう音なのだ、あれは。
この歌謡曲懐古ブームは、そんなキラキラした時代を番組制作側もお茶の間も懐かしんでいる、ということなのかもね。


「カバ」発売に向けて、勝手にこれまで世に出たカバーアルバムなど調べたりしているのだけど、今の若い歌手が昭和の歌をうたうのは難しいだろうな。
だからこそ、あの個性のはっきりした楽曲たちを退屈な「カラオケ」にせず、愛を持って華麗に乗りこなすロデオ的な面白さをも見せてくれそうな、剛さんの「”ファンク”古い日記」に異常な期待を募らせてしまうのだ。昭和とか平成とか超えた、すごくワクワクな匂いがする。これからは、大好きなことをやっている人の勝ち。