堂本剛 カバーアルバム「カバ」リリース決定


「突然なんですけど」と前置きをして、「カバーアルバムを出すことになって」。


前日からFM局のサイトに「重大なお知らせあり」との告知があり、きっとshamanipponのニューアルバム告知だろうと思っていたらさにあらず。私は特にカバーアルバム推しではなかったのだが、現実となってみるとどんなものになるんだろうと急にわくわくそわそわ。


<前からそんな話はいただいてたけど、人様が書いたものだから、その想いを自分でちゃんと理解して歌えないと失礼だと思いずっと断ってきた。今回は、カバー曲流行の時代でもあり、レコード会社からまた頼まれたので、自分の思い入れのある曲ならと11〜12曲選んでオファーを出した。その中のひとりのアーティストの会社からは、「今はそういうお話はお受けできない」と言われたので、そこに自分の曲を入れることにした。CDには特典映像もつける予定>


今回選ばれたセルフカバー曲は、「街」、「優しさを胸に抱いて」。
「街」は2002年にソロシングルの第一弾としてリリースされたものをリアレンジして歌ったもの。CD未音源化のままだった「優しさを〜」は、剛っさんがギターを持って初めて書いた曲。「10代で書いた時は2コーラス目がなかったので、33歳の今新たに書き足した。凄い時間軸の曲になってる」とか。


そして、他のアーティストのカバー曲のひとつは、尾崎豊の「I LOVE YOU」。思い入れがあって選んだ曲のひとつ。
<この曲はシンプルすぎて強すぎる歌だから迷ったが、自分ならこう思うだろう、こう歌うだろうと思いながら歌った。レコーディングで何度も歌うことになるだろうと思いながら歌ったが、何気なく歌った3回目くらいのテイクでOKが出た。
尾崎さんの魂がこの世に残って、曲から魂の想いが受け継がれていく。歌うことでその人がその時代を生きたということが周りの人の心に残る。尾崎さんの歌を歌いながらそんなことを考えた。いろんなことを発見した曲>


このカバーも今夜披露されたが、もしかしたら尾崎版に大きな思い入れがある方が聴いたら戸惑うのではないかと思うほど、堂本剛版は堂本剛の曲になっていた。


尾崎豊は生前こんなことを言っていたそうだ。
「誰かを愛するとハッピーなはずなのに、何故切なくなるんだろう?」
「人の命には限りがあるから、いつかは別れが来る。それが人の遺伝子の中に入っていて、人を好きなった瞬間、無意識のうちにそれがわかってしまう。だから切ないのではないか」


同じルーツを持った魂だから歌えるものがある。生きられなかった人と、生きようと決め今も「命」を歌うことにこだわる人。どちらの声にも、若い無力感、痛み、孤独が響いていた。
ただ、この曲を歌う10代の尾崎は、「ふたり抱きしめあっても」埋められない孤独に苛立ちをぶつけるが、33歳の剛はひとり静かにその日々を振り返っているかのようだ。「街」のカバーにも、オリジナルにあったひりひりとした痛みや張り詰めた空気はもうなく、今夜聴いたこの3曲にはどれも、自らの傷ついた少年の日々を慈しみ、大切に包み込もうとする響きがあった。
今、彼がカバーアルバムをやろうと思った意味はそこにあったのかな。


しかし、この発売時期未定のアルバム、タイトルは「カバ」(表記不明)というのだそうで。
<他のアーティストの曲のカバーだけでパッケージしたかったけど、自分の曲が入ってしまったからカバーじゃない、じゃあ「カバ」にしよか、と言ったらそれが通ってしまって、企画書もカバ(動物の)の写真で進んでる>
これには軽く「またご冗談を」と笑っておく。(涙目)