そしてゲームは続く


丸刈り騒動から一昼夜。
まだなんとなくもやっとしたものが残る。悪い夢を見てしまったような。ただ多分それは私にとって「悪夢のような現実」であって、普段意識的に見ないようにしていたものだったのかもなーと思う。


こうやってKinKi Kidsや剛っさんというアイドルに対する勝手な物語を書きなぐっている人間だけど、今回の騒動を見て私には世の中のAKBファンが一体どんな物語を必要としているのか、実際のところよくわからない。何故「女の子たちの成長の物語」には、かくも残酷なエピソードが必要なのか?


これまでも彼女たちが毎年の選挙結果に一喜一憂する姿、様々なプレッシャーから過呼吸になったり、「恋愛禁止」のルールを破った(いろんな形で表面化した)者が「罰」を受けたりするところを見てきた(実際は「読んできた」だな)。
「恋愛禁止」という足枷を着けられながら、恋に憧れる歌を歌う永遠の少女たちが、スターアイドルになる夢を追う。しかし恋の誘惑に負けてルールを破れば、即「罰」が下され、大人が彼女たちから夢を取り上げる。
なんとまあよくこんな残酷なゲームを思いついたことだと思う。


でも、やはりそこには「ニーズ」があるのだ。いろんなストレスに晒された彼女たちが、その生きにくい状況の中で一生懸命がんばるのを(CDを買って選挙券や握手券を手に入れることで)手伝ったり励ましたりする、このゲームに夢中になる人たちがいる。
今の世の中、同じようなストレスを抱えている人が多いのかな、と思う。特にコミュニケーション下手な男性は、恋もできず、競争社会の中で息苦しさを感じながら孤独に生きている自分を彼女たちに投影しようとするのかもしれない。だからこそ「ルール」を破り抜け駆けをする者は厳しく罰せられ排除されなくてはならない。


ストレスを感じると、ストレスホルモンが血液や脳の中で科学変化を引き起こし、人間は快感の感覚を得にくくなるのだそうな。だからストレスのつくり出す「イジメ」スパイラル、無言のパワハラは、快感を得るためどんどんエスカレートしていき、「リアル」はいつしかグロテスクなホラーの様相を見せ始める。その中で、誰かが「炎上マーケティング」を仕掛け大きな火柱が上がる。「どうです?退屈しないでしょう?」と眼鏡の向うの目があなたの目を覗き込み尋ねる。。(怖)


もう卒業した前田敦子ちゃんが、卒業早々写真週刊誌にアラレもない姿を撮られた時、なんだか微笑ましいなと思ったのを覚えている。彼女はするべき時期にしておくべき失敗ができたと思うから。本人はさぞ恥ずかしかっただろうが、あんなことは二十歳くらいで済ませて懲りておかないといけない(笑)。
結局のところ、今回の主人公だった彼女は、お酒ではなく周りの期待に呑まれてしまってたんだろう。この騒動が恋とかお仕事のこととか、冷静に考えるきっかけになっていたらいいなあと思う。