NHK ワールド特番 「ジャニーズ・ワールド The Top of the J-pop」


NHK WORLDの「JOHNNYS' WORLD:Top of the J-Pops」を観た。
ジャニーズ帝国を創り上げた人であり、プロデューサーとして3つのギネス記録を持ちながら、普段マスコミには一切登場しないミステリアスな人物・・・のジャニー喜多川さんTV初登場!ということで期待したものの、全くお姿はナシ。声も英語の吹き替えに埋もれて聞こえない。ただ、これまで直接聞くことのなかった彼の仕事に対する考えや信条などを聴けたのは面白かった。(※以下、ざっと聴いてニュアンスを書き取ったものを元にしています)


50分間にわたる、インタビュー+ジャニーズ事務所50周年の集大成として制作された「JOHNNYS' WORLD」の舞台裏を追うドキュメンタリー。中心になるHey!Say!JUMPの山田くんや、Jrの子たちの現場のコメントも沢山盛り込まれてる。


その日のリハーサルでは、出演者たちによって、ある「しっくりこない」セリフについてのディスカッションが行われていた。納得が行かないことは皆で徹底的に話し合い自分たちで改善していく。その姿を何も言わず黙って見詰めるジャニーさん。別の稽古場ではJrの子たちが、スタッフ(サンチェさん?)によって、「すべて自分で考えること」「自立すること」を叩き込まれている。たとえ小学生であっても、ステージに立つ以上プロ意識を持たなくてはならない。
山田涼介くんは、このステージでまるでサーカスのような綱渡りを披露する。「怖いけどそれはお客さんには見せられない。ステージに立ったらどんな難しいことでもプロとしてやる。その緊張感が好きだし、そこがジャニーズのいいところ」と目を輝かせる。


彼らの大先輩である光一くんは言う。
「振り返ると、僕も全然ダンスなんてできなかったのに、いきなりステージに立たされた。走ったり旗を振ったり、そこで強くなり、成長した。僕は常にジャニーさんに褒められず、『最低だよ!』と言われてきた。でも他の子に聞くと『褒められた』って言う。多分彼はひとりひとりをちゃんと見て、その子に合った言葉をかけていたんだと思う」


そんな子供の資質を最初から見抜く目があるように見えるジャニーさんだが、「最初からどの子が成功するかなどわからない」、と言う。
「僕は神様じゃないからそれは不可能です。例えば、『ローラスケートをやりたい人?』と聞いて手を挙げた7人が光GENJIになった。ジャニーズに入りたい沢山の子供たちがいますが、特に選ぶ必要はないんです。子供がやりたいことをやらせる。もちろんステージに立つには才能が必要だから、その才能を引き出してあげるのが僕たちの仕事。
子供にはそれぞれに違う家庭環境、バックグラウンドがあり、皆その状況を生き抜こうとしている。子供には生きる才能があるんです。その物語、歴史を支え、大きく育てていくのが僕は好きなんですね」


何だか児童教育の講義を聴いているような気になる。世間にはチャラいイケメン帝国ジャニーズに見えるかもしれないけど、それはむしろ職人集団とでもいうべきところ。どんな小さな子でも、大人は必要以上のことは教えない。自分で見て考え行動し、できないことは仲間と助け合う。努力と自主性を重んじる教育。ジャニーズというシステムには今イジメや体罰で揺れている「学校」に欠けている何かがあるような気がする。
番組内にはジャニーさんのプロデューサーとしての功績とか、ビジネスマンとしてのジャニーズの戦略に関する話もあったけど、私はこのジャニーさんの「人を育てる才能」の話が一番面白いと思った。


もちろんそんなきれいごとだけじゃない世界なのはわかっている。でも、ちょっとジャニーさんという人のイメージが変わった部分もある。
JOHNNYS' WORLDに限らずジャニーズのステージには、文字通りジャニーさんの頭の中にある理想の世界を実際に創り上げられる。そのためにはとんでもないお金や人力が費やされるわけだが、このドキュメンタリーは、彼にとってお金というのは、ただひたすら「誰も観たことのないような素晴らしいステージをお客さんに提供するため」必要なものであり、「私腹を肥やす」という部分は彼の中では二の次なのでは、なんてことを思わせたんである(ソコ!?笑)。彼はよく言えば「ガンコな職人気質」な、悪く言えば「自己中な仕事バカ」的な、でも人を喜ばすことが大好きな一途で憎めないオッサンなのではあるまいか。


あの事務所に言いたいことは山ほどある。彼の中の「自己中な仕事バカ」な部分は、やりたいことのためなら手段を選ばなそうだから。ただ彼はとても才能のあるプロデューサーであり、一流のエンターテイナーを育てるカリスマのある人なのだというのはどうやら間違いなさそうだ。彼の育てた「職人」たちの仕事ぶりを見ていると、やはりそう思わずにはいられない。


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ところで、今夜の「どヤ!」で『「アンダルシアに憧れて」の解釈がわかりません』、というメールがありましたが、わたくし以前じっくり調べてみたことがあります。すごい時間かけて書いたんで(泣)、同じくギモンを抱いている方がいらっしゃたら是非読んでみてくださいませ。
『「アンダルシアに憧れて」を検証する』http://d.hatena.ne.jp/blancmange/20110222/1298360918(3日間に渡って書いてますんで、続きへは本文の左にある<カレンダー>で進んでください)