大和色を纏う オススメ京土産 


以前、ここで日本画を描いているというドイツ人に会った。
小さい頃、画集で見た日本画の美しさに惹かれて、美大で水彩画を描く傍ら、我流で日本画を描き始めたのだそうだ。彼の大学には日本画を教える先生はいないので、今は年に数回ベルリンにいる先生に指導を受けに行く。日本画の何が好きなの?という私の問いに、彼は「色」と答えた。特に「白」のニュアンスがいいのだそうな。


日本画の白の顔料は「胡粉(ごふん)」と呼ばれる。飛鳥時代〜奈良時代頃に唐から伝わったもの。鉛を原料としていたため湿度の高い日本では黒く変色してしまうことから、以後貝殻を使って作られるようになった。白度の高いものはハマグリの殻を何年もかけて風化させ加工する。その白さは京人形や能面の肌色、神社などの天井画などにも使われてきた。


いつも思うが、色彩感覚というのはその土地によって面白いほどに違う。同じ赤でも、例えば日本の赤は朱、フランスの赤は紅、ドイツの赤は黒味のかかった血の赤に近い。それはその土地の陽差しの強さや、土壌の質、(多分)その両方から影響を受けた花の色だったりするんだろう。南フランスを旅行した時、あの独特の紅色の原料になる土の採れる町に行ったが、強い日差しの下、畑の土が日本では見たことのないようなピンク色をしていた。ドイツの血の赤は狩猟民族のDNAを映しているのか、赤は南ドイツの肥えた真っ黒な土や深い森に映える鮮血の色。そのヨーロッパよりはっきりとした四季を持つ日本で生まれた大和色が、より豊かな色のバラエティーとニュアンスを持つのは不思議なことではない。


剛っさんの詩を読んでいて思うのは、その色彩感や空気感が実に日本的だということ。もちろんそれは私は日本人だから分かることでもあるけど、彼の選んだ言葉からは、その組み合わせでないと生まれないニュアンス、音、匂いがする。その土地の自然物から作られた顔料で描いた絵のように。


ところで、なんとその胡粉から作られたネイルカラーがあるのだそうな。元々は京都にある日本画用の絵具を扱う会社が新規事業として開発したらしい。
PC上で見られる色見本を見ただけでも、普通のネイル売り場に並ぶカラーとは一味違う。天然素材のエコ・アイテムだし、名前も「紫苑」「京紅」「古代岱赭(たいしゃ)」「水浅黄」などと美しい。古代色を纏う愉しみ。着物を着たときとかにつけてみたい色。こういうところから、また大和色が思い出されてゆくといいなあと思う。


来週末はもう平安神宮ライブ。京都土産にいかがっすかー。これはステマじゃないですよー、念のため。(笑)
※ 胡粉ネイル 上羽絵惣株式会社 でググると出てきます。