平安神宮と蒼龍


2月24日から2週間限定公開される「平安結祈 heianyuki」、今朝のワイドショーなどで一部映像が流れた。赤や青のレーザー光線に浮かび上がる剛っさんのシルエットが幻想的。時折きらきらと光る雨粒が一層神聖な空間を創りだす。


平安神宮というのはその昔修学旅行で行ったきり。他の神社仏閣を巡った後では「何かピカピカ新しいかんじのところ」という記憶しかない。それもそのはず、平安神宮は1895年に平安遷都1100年記念として復元されたもの。本来は元々あった場所に平安宮朝堂院全体を復元する予定だったのが、土地買収に失敗(テコでも動かないガンコじいさんとかいたんだろうか?)したので、現在の場所に当時の8分の5の大きさで建てられたらしい。


平安京をつくる時に陰陽道に基づいた四神相応の都づくりがなされたのは有名な話。「東に清き流れがある」「西に大きな道が続く」「南が広く開けた湿地帯である」「北に高くそびえる山がある」のが風水上理想的な都の場所であるとされた。一般的に「西の蒼龍」が賀茂川、「東の白虎」が山陽道、「南の朱雀」が巨掠池、「北の玄武」が舟岡山であり、この四つの神獣が都の守り神となっているそうな。
そしてその陰陽道で大切な「気」のエネルギーが満ちる場所なのが、「龍穴」。元々の平安京の大極殿はその龍穴の上に建てられていたと言うけれど、その場所は今はどうなってるわけ?と思い調べてみると、そこは現在千本通りと丸太町通りの交差点の辺りで、確かに「大極殿跡」と書かれた石碑や看板が立っているようだ。


もっと詳しい話を探しネットをウロウロしていたら、どうやら数年前にNHKで「よみがえる平安京」という番組が放映されたことを発見。レポーターはその道の権威荒俣宏センセ(!)。そこで語られたことをまとめると、「風水は山々を連なる大地の気の流れを龍脈と呼び、京都盆地の北側ある大文字山を真龍に例えた。真龍はまず龍穴へと動き大地の気を迸らせ、神泉苑で水を飲みほし、さらに朱雀大路を南へと向かう。そして南にある東寺と羅城門(現在はない)と西寺がその大地の気が外に漏れないようにブロックし、かくして大地の気は京都の街に満ち溢れる。大極殿はまさに京都の風水パワーの中心だったのだ」。
ちなみに、その他にも気の満ちるパワースポットと言われる八坂神社や神泉苑もこの大極殿跡と同じ龍脈上に建っていると言われているとのこと。


奈良や京都など、古代から人が集まり都ができたところというのは、やはりいい「気」の満ちた場所であり、パワーを持った土地なのだろうと思う。せっかく修学旅行以来随分久しぶりに縁の結えた(気がする)京都をまた旅してみたい。こんな風に都を縦横無尽に走る龍を追って旧跡を巡る、巷でおじさまたちの間で流行っている「古地図の旅」、というのもきっと面白いものだろうなと思う。


おもむろに平安神宮のサイトなど見てみれば、「蒼龍池に浮かぶ珊瑚島までは臥龍橋と称する飛び石が配置され、龍の背に乗って池に映る空の雲間を舞うかのような気分を味わえる」とある。
そしてその蒼龍の司る季節が「春」となれば、これはどうにも行かねばなるまい。