新堂本兄弟 乙女の妄想祭り


この週末、友人の住むドイツはミュンヘンに行ってきました。
この日曜日がAdvendという、クリスマスまであと4週間のカウントダウンが始まる日。クリスマスマーケットも始まり、地元民、観光客入り乱れて、旧市庁舎前広場はとんでもないイモ洗い状態でしたが、暖冬の今年は雪もなくイマイチムードが盛り上がらない気も。
しかし、ミュンヘンってのはいつ行っても何かしらお祭りをしていて、民族衣装の革の半ズボンをはいた赤ら顔のおっちゃんたちがビール飲んでいる。政治の中心であるベルリンが会議室なら、ミュンヘンは離れの宴会場といったところか。人も陽気で、ユル〜い空気が心地よい「日本全国酒飲み音頭」的な町なのだ。


「NIPPON」が発売になった時、買いに行こうと思ったのも、ここ。欧州での発売告知がされた「NEO TOKYO」の本店があるのだ。その時は都合で行けなかったけど、ちょっとどんな店なのか「現場を見に行く」的な興味があって今回突撃を試みた。が、土曜日は3時閉店ってことで、行ったら閉まってました。ガーッカリ。
でもショーウィンドウ越しに店内を覗き込んだら、日本のマンガやファンシーグッズ、GAN-SHIN所属のアーティスト達のようなロックファッションアイテム、そしてコスプレ衣装、CD、DVDなどがぎっしり。ウワサにたがわぬ「ニッポンオタク御用達」ショップでありました。


さて、帰って早速観た「新堂本兄弟」、ゲストはクロサワ映画の皆さん。今回は「年忘れ乙女の妄想祭り with 堂本剛」といったオモムキで、いやー久しぶりにお腹いっぱいごちそうさま感がありました。
しかし、ああやって観ると、例えば5年前と比べて剛っさん、随分男っぽくなったなあ、と思う。笑い転げる顔から「愛くるしい」アイドル的糖度がかなり落ちた。そして眼差しが強く深く精悍さをたたえるようになって、いい意味で現実的=茫漠とした希望ではなく、確かな向かうべき方向を見つけた男の落ち着きが感じられる。もはや少年ではない、男のたたずまい。それはとりもなおさず「適齢期」の匂いでもあり、お姉さまたちの「プロポーズに対する乙女の妄想」の具現化には、もってこいの人材であった。


個人的にツボだったのはやっぱ大久保さんの「パスタをゆでながら」。あの5年前には絶対出せなかったニュアンスに、ちょっとクラっとしました。ああいうのは小芝居じゃムリ。逆に黒澤さんの、妄想の純度の高いあの役どころは5年前の剛っさんならもっとハマった気がする。鬼奴さんのは剛っさんの英語の発音にシビレる。光浦さんのはなんだか異常に普通で淡白。彼女はもしかしたら極度に恋愛体質じゃない人なのかもー。


なんて、観ながら思ったけど、私の妄想スタイルは黒澤さんに近いかもしれない。ああやってコツコツと細かいディテールを積み重ね、短編映画になりそうな長い物語を長い時間をかけて編み上げたものだった。今はもう隣に愛するダーリンがいるから(え)、あんな風に心ときめく恋の妄想も長いことしてないことを思い出して、なんだか寂しい気さえする。


でも、年をどんなに重ねても女の中の「乙女心」は死なない。「乙女心」の育てた妄想を「くだらない」とうち捨てるということは、「女」を捨てることでもある。クロサワ映画の皆さんもガンバってそれぞれの妄想を成就させていただきたいものです。