由紀さおりに続けっ!


由紀さおりがカナダのジャズオーケストラPink Martiniとコラボした「1969」というアルバムが欧米で大ヒットという件。


オモシロっ、と思って動画サイトに直行、ものすごーく新鮮に彼らのカバーするニッポンの60〜70年代初頭の歌謡曲を聴く。
少しジャジーな味付けがしてあったりもするけど、基本的には当時のニッポンのムード歌謡の雰囲気そのまま。アイドル全盛期となる前の歌謡曲って、確かにオトナのもんだった。演歌が居酒屋なら、歌謡曲は薄暗いナイトクラブ(語尾下げる)。和田弘のカバーとか、今聴くとミョーにエキゾチック。
私とて当時ナイトクラブに通ってたわけじゃないんで、あくまでも当時TVで歌番組を観ていたお子様の記憶から察するに、ということですが。


このPink Martiniというジャズオーケストラ、これまでもいろんな国のいろんな音楽、歌手とコラボしているようで、由紀さおりとの共演が何か特別な意味を持っているわけではない。たまたまメンバーが日本で見つけた彼女の古いレコードが気に入り、今回のコラボに結びついたということらしい。


しかし、彼らがカナダで人気のアーティストということで母国でヒットするのは理解できても、欧州では特にギリシャで大ヒット、というのがよくわからなくて興味が湧く。
ギリシャ人じゃないけど、まあ似たようなもんだろ、とウチのツレアイに「ギリシャの新旧歌謡曲事情」を尋ねてみるが、「知るわけねーだろ」。
確かに、ギリシャは欧州に於いてある種「地の果て」であり、ヨーロピアンであっても大抵の人は、ギリシャ人と言ったらソクラテスの後はマリア・カラスまで、そしてその後もパパンドレウ首相まで大きな空白を抱えているはずである。
そんじゃあ、とギリシャの古い歌謡曲など検索してみるが、ふーん、なんというかちょっと垢抜けない+イタリアやフランスの60年代ポップスの影響が残る点で、日本の古い歌謡曲に近いテイストはあるかもしれない。という程度。どうもこのヒットに「日本」が何か意味を持っているとは思えない。


でもよく考えてみると、日本の洋楽リスナーとて曲の背景や歌詞を意識して聴いてる人がどれだけいるか。特にこういうイージーリスニング系、BGMとして重宝されるタイプの音楽では、そこに歌われるのが日本語だろうとポルトガル語だろうとあまり関係ない。むしろわからない方が会話のジャマにならないし、リラクゼーションにはよい、ということもある。彼らはきっと純粋に日本の古い歌謡曲のエキゾチックな調べと、歌姫の透き通った歌声を堪能しているのだ。


最近とみに思うけど、日本人って日本文化を特別だと思いすぎてるフシがある。きっとわかってもらえないだろう、とか。でも今日本のアニメが世界を席巻しているように、別に意識して洋風にアレンジせずとも、日本という個性で音楽も充分勝負できるんじゃないかな。


今回ギリシャでは、たまたま面白いなと拾い上げて、パワープレイに乗っけてくれたDJがいてヒットしたんだろう。欧州では近年若干変化してきてはいるが、TVは基本年寄りのものであって、ポップスやロックを含めヒット曲はラジオから発信されることが多い。
って、結局何が言いたいかって、どっかに「NIPPON」拾い上げてくれるDJいないもんかなー、って話です、もちろん。剛っ、由紀さおりに続けー!