「NIPPON」待ち


「NIPPON」の到着を首を長くして待ってるんだけど、速達代金ケチったらまだ来ないー。Amazonドイツから日本への速達便はもうぼちぼち届いている様子なのに、飛脚だってもう着いてるようなこの距離のどこで私の「NIPPON」は道草を食っているんでしょう。(涙目)


仕方ないので、日本のTV番組なぞ観ながら気長に待つことに。
先日放映された某番組に、トシちゃんこと田原俊彦がゲスト出演していた。彼は言うまでもなく、80年代に少し元気のなかったジャニーズを盛り上げた元スーパーアイドル。が、93年に結婚、94年事務所から独立。その直前の「オレはビッグだから」発言でマスコミの反感を買い、本人の言葉を借りると「パリパリ」になるくらい日本の芸能界から干され、TVから姿を消す。
それをこの番組では、「アンタ何様!?」と世間から避難された「ビッグ」発言は、マスコミによる悪意のあるVTR編集によるものだとして、実際のその記者会見の模様を編集なしVTRで検証、事件の真相に迫った。


結果。彼自身が後で「会見を生放送でやらなかったことを後悔した」と言うのが納得できるほど、VTRは見事に彼に不利なように編集されていた。本人が映っているVTRであっても、編集の仕方によっては事実を180度ネジ曲げられるというとてもよいお手本。
ジャニーズ事務所という大きな力、そしてその顔色を伺うマスコミ、面白おかしいスキャンダルを心待ちにするお茶の間の目、視聴率が欲しいTV局。それぞれの思惑がひとりの男の人生を翻弄する。うー怖すぎるっ。


彼の全盛期を知らない世代は、「なんかイタいおっさん」くらいにしか思わないだろうが、なんというか、全盛期の彼もまたあのまんま。あまりカシコでない俺様キャラ(ファンの方すいません)だったのだが、この番組で印象をまたぐぐぐと180度変えられた人も多かったんじゃなかろうか。こんなに気骨の人だとは、(ファン以外)誰も知らなかったと思う。


でもなにより面白いと思ったのは、その彼の干されていた間の芸能活動。ちょっと調べてみると、TVへの露出が限りなくゼロだった頃も、彼はインターネットラジオで番組を持ち情報発信、地元の山梨の新聞社の協力を得て連載を持ったりする地道なプロモ活動をする傍ら、コツコツとシングルを出し続け、ライブを開き、ディナーショー、FC主催の温泉旅行など、ファンのケアも怠らず、芸能界の本流とは全く離れたところでリッパに「食って」いたのだ。
これって、もしかしたら、新しいスタイルの生き方なんじゃ!?長いものに巻かれて自分を見失うこともなく、私生活を切り売りすることもなく、あくまでも自分発信の生き方というのは可能なのだと彼は証明してみせた。もちろん彼のように、そうできるだけの強い信念と、アイドルとしての魅力があったらの話だけど。


それにしても、きょうびのTV番組は総ワイドショー化というか、手を替え品を替えのプライバシーの大安売りみたいだ。芸能人、芸人なのに、売るのは芸じゃなくて「人柄のよさ」だったりして。
もっとも、「すべらない話」とか、楽屋オチ話は確かに面白いもの。でもそれも皆ボチボチネタがなくなってきてるんじゃなかろうか。だからか、こないだダウンタウンの番組で、芸人をべろんべろんに酔わせて放置するという(笑)、いわば究極の”素”見せ企画をやっていたけど、うーん、あのくらいアナーキーだと面白いわー。とミョーに感心。


ここでトシちゃんを拾い上げた爆笑問題とか、ダウンタウンとかとんねるずなんかは、ほぼ皆同世代。そして番組のプロデューサーや脚本家などのクリエイターの世界でも、その世代が発言力を持つ年代になってきた。今回の番組とか、少なくともトシちゃんネタ解禁となったってことは、当時の実力者が皆引退して、ぼちぼち新しいやり方にシフトしていく時代がきたのかなと、思えなくもない。そうであれば、私も同世代として応援したいものです。