愛される理由


「プロフェッショナル 仕事の流儀」のSMAPスペシャルを観る。


今年で結成20周年。先日、北京での初公演も話題になった。
90年代、どうもTVをちゃんと観てなかったらしい、KinKiを知らなかった私でもメンバーの顔と名前くらいは知っていたSMAP。私よりずっと年上の友人たちが「子供の付き添い兼ファンの母親も沢山来てるから意外と浮かないのよ」と嬉々としてコンサートを観に行っていたっけ。


地味なデビューで最初の頃はCDも思うように売れず、コンサート会場もガラガラ。
そんな彼らが、歌番組が次々と終わっていく時代にバラエティー番組に活路を見い出し、それぞれのユニークなキャラクターで国民的アイドルに成長していく。
元々Jr.の中でも決して優等生ではなかったと言われる彼ら。「ヘタでも一生懸命頑張る」「ダメなところは探してでも見つける」「いくら走ってもわからないことだらけ」。驚くほど謙虚で、そして正直に今も抱く劣等感を口にする。
うーん、この健全さが、ジャニーズなんだよなあ。


これは、幼い頃から夢を追いかけ、仲間たちと切磋琢磨しながら、一番後列から頑張って一列ずつ前へ、という競争をした者でないとわからない。本来一番二番という順位がつけられないエンターテインメントの世界ではあっても、皆一緒にレッスンを受けていれば自分の実力というものは自ずとわかり、そこをどう克服するか考えるところから個性が育っていく。
そんなところから生まれたグループは、それぞれがソロ活動で全く違う世界を築いていても、メンバーとの活動を大切にする。お互いの違いを理解しリスペクトしているから、ひとりひとりが成長することでグループとしてのクオリティーも上がる、と考えるところに、強い絆が生まれるのだ。


先日、「NEWS」から山Pと錦戸くんが脱退した。
山Pはソロ、錦戸くんは関ジャニに専念するらしい。NEWSのファンはさぞかしショックだろうが、彼らは元々そんな「迷い」を抱えた成り立ちをしていたんじゃないだろうか。
確か以前「少年倶楽部」でメンバーの誰かが話していたが、NEWSを作るにあたっては、「まず山Pありき」。群を抜いたアイドル性を持った彼を中心にする、ということだけ決まっていて、後のメンバーは彼とのフォトセッションで決まった、と言う。(もっとも、これは本来NEWSが期間限定のユニットとして組まれたから、という話もあるようだが)


多少の年齢の差や例外はあっても、それまでのグループは同じ時期にJr.として活動し、下積み時代を共にした、いわゆる「同じ釜の飯を食った仲間」で構成されていた。(もちろん、ずっと彼らを見続けていたジャニーさんの、神がかり的なグループ作りのセンスも大きいのだけど)
それが、NEWSに於いてはどうもそれとはまた別の「大人の事情」が優先された印象がある。一つのグループに二人も「かけもち」メンバーがいたり、いろんな別ユニットが派生したりしたことからも、大人たちの迷いや計算が見え隠れする。今回の脱退劇は、グループの言わば”不幸な生い立ち”が招いた予測可能な結果とも言えるんじゃないだろうか。
もちろん短い間ではあれ、そこに築かれた信頼関係はあっただろうから、彼らにとってもファンにとっても辛い出来事であったことは想像に難くない。


大成功に終わったSMAPの北京公演。舞台を降りたメンバーの満面の笑みに、観ているこっちも「よかったねえ」とついホロリとする。
「プロフェッショナルとは?」という質問に木村くんが答える。「最前線から逃げないこと。風当たりは強いけど、そこにいたい」。
仲間がいたから今の自分がある。ひとりじゃできなかったことも、仲間とだからできた。ぶつかり続けることで強固になっていくチームワーク。達成感を皆で分かち合うことの喜び。


確かなものが見つけにくい時代に、そんな揺るがないものを作り上げてきたことがSMAPの、ジャニーズの愛される理由でもあるんだろう。