月に願いを


那智四十八滝のひとつ「不覚の滝」が先日の台風による土砂崩れで失われた、というニュースを読んで残念に思っていたら、あの那智の滝も大きな被害を受けていたようだ。大量の雨水によって滝の水圧に耐えられなくなった滝壺の岩が崩れ、滝壺の前にある神事を執り行う「斎場」の三分の二が流失、傍にあった朱塗りの九天門は倒壊した。
道路の寸断などで孤立化していた奈良の十津川村には、8日夜から降り始めた雨で土砂ダムが決壊する恐れがあるため、改めて避難勧告が出された。毎日新たに判明した被害が報告されるたび、新たな悲しみがもたらされる・・・。


今年は9月12日が「中秋の名月」だそうだ。
我が家も毎年お月見をする。もっとも上新粉で作ったお団子と、山から摘んできたススキもどきに萩を添えただけで、ソコハカとなくパッチもん臭いお月見である。
以前、占い好きの友人に「満月に願いごとをすると叶うよ」と教えてもらった。彼女曰く、「願い事はできうる限り具体的でないとNG」。要は、「ステキな出逢いがありますように」ではなく、どこがどんな風にステキないくつくらいの男性とどこで何日頃知り合いたいか、なんてことを事細かに望まないとダメなんだそうな。月の神様も忙しいから、なるたけわかりやすくしてね、ということか。


先日、天然石のアクセサリーを売るショップで小さな勾玉型のペンダントヘッドを見つけ、思わず購入。石はほのかに紫がかった白い翡翠。
勾玉は天皇家に伝わる「三種の神器」のひとつ。古代から天皇の装身具、または護符として用いられていたらしい。
太陰暦の使われていた古代の日本で作られたもので、月を模したものとか水滴を模ったものとか言われているが、当時の人々には草木に宿る夜露は月が作るものだと思われていたそうだから、どちらにしても月の象徴だったと思われる。
万葉集の中にも「月読(ツクヨミ)」と呼ばれ、「月」齢を「読」む=暦や時を支配する神が出てくるが(ちなみに外国では女神と考えられている月、日本の神話では男性のようだ)、月は潮の満ち干きにも影響する、水を司る存在でもある。


今年はいい月が見られるといいな。もうこれ以上の水の被害が起きないよう、満月に願をかけたい。静かなピアノ曲などをBGMに・・・。