平安神宮から、天へ


台風一過とは言え不安定なお天気だったものの、今日は無事平安神宮ライブが行われた。ホッ。
参加された方のTwitterなどによると、雨の降りだした中「縁を結いて」で感極まった剛っさんが涙したとか。多分そこにはもちろんファンに対する感謝の気持ちもあったのでしょうが、この台風のもたらした被害の大きさに悲しみがこぼれてしまったということもあるのでは、と思った。


この台風12号は、彼が歌っている間にも、各地に記録的な大雨を降らせ、彼の故郷である奈良も大きな被害を受けた。先日「ココロ見」で訪ねた十津川村、天川村、そしてその下流の、和歌山県熊野地方、熊野本宮大社周辺、熊野那智大社のある那智勝浦周辺でも、洪水・土砂崩れと大きな被害を受け、両県合わせて現在四十数名の死者・行方不明者が出ている。特に熊野勝浦市、新宮市は外部からの救援隊も入れないほどで、被害の全貌は未だつかめない状態だそう。
どこも剛っさんに縁のある土地ばかり。十津川の木こりの東さんはご無事かしら、那智青岸渡寺の高木さんは、天川村の方々は・・・。平安神宮から天に向けて放たれた彼の言霊は、また新たな傷を受けた方々に届いただろうか。


近年益々凶暴化する大気現象。大気の温度が上がると水の蒸発量が増え、それと同量の降水があるため、局地的な大雨や豪雨も増えているらしい。むろんこれは地球の温暖化に関係している。
今回の台風12号があんなにノロノロ鈍足だったのも、温暖化で海水の温度が高くなってきているためだそう。本来なら日本近海に近づくにつれ水温が下がり台風が取り込める海水からの水蒸気量も下がって、エネルギーを失うはずが、その水蒸気量が変わらなかったからエネルギーもそのまま、たっぷりと水を蓄えたまま日本へ上陸となった。


これはよく言われる、温暖化によって人間の作り出す二酸化炭素(Co2)と、森林と海洋が吸収するCo2とのバランスが崩れたこと起因する。
大気中のCo2量は増え続けているのに、陸では森林の伐採が進み植物による光合成(二酸化炭素を吸い酸素を吐く)が減る。そして海では、水面の温度が上がることで水面に近い表層域とその下の深層域の水が混じりにくくなり、プランクトンの餌となる栄養分が表層域に行かず、光合成を行うプランクトンが減少している。それが海洋のCo2吸収量を下げているのだ。
そう、大地と海と人間はその絶妙なバランスの中で共棲していたのだ。そのデリケートなバランスが人間の手で崩された時、自然はこれまでと違った顔を見せることになる。


「那智四十八滝」を育んだ那智の原生林。最近では民有化されたところも多く、伐採が進んでいるそうだ。近年滝の水量も減っているようで、このまま自然破壊が進めば那智の滝も枯れてしまうのではないかと心配する方々の手で基金活動も行われている。http://www.town.nachikatsuura.wakayama.jp/forms/info/info.aspx?info_id=9330


今夜彼は「Help Me Help Me・・・」を一部歌詞を変えて「今日も誰かが星に祈ってる」と歌ったのだそう。皆の祈りが大きな流れ=癒しのエネルギーとなることをひたすら祈りたい。
しかし、古代からの人々の大きな祈りの地が今回大きな被害に遭ったということが、なんだか偶然とは思えない。これは大自然からの傲慢な人間に対する警告・・・?「水」と「傷」の詩を歌う彼もまた、そんなことを感じているのではないかと思う。