NIJIの詩


「NIJIの詩」。まだリリース日の決まっていない剛っさんの新曲。
ほんとうに彼は虹が好きね。調べたことはないけれど、これまで作った曲で「虹」という言葉の入っているものって結構あるんじゃないだろうか。いつも空を眺めている人だから、空にかかわるキーワードは他にもたくさん出てくるけど、「雨の弓」とかさりげに虹をうたっているものもあるし。一度じっくり調べてみたい。


以前、龍のことを調べた時に、虹というのは世界いろんなところで蛇、そして龍と同じイメージを持たれるものらしいと知った。古代、虹は「龍の吐く息」と思われていたなんて話もある。う〜ん、彼の好きそうな世界。(笑)
そして「こちらの世界とあちらの世界」「天と地」を結ぶもの、というイメージも同様に様々な文化に於いて共通のもので、日本神話ではイザナギとイザナミは虹を渡って下界に降りてきたと言われている。巫女=シャーマンである剛っさんが好んで使うイメージだというのも当然か。


虹と言えば7色。というのが日本では常識だけど、実は古代では5色と思われていて、今でもたとえばドイツでは5色、イスラム圏では4色、アフリカやアジア等の少数民族の中では3色、2色とか、感覚は様々に違う。
「7色」は、ニュートンが太陽光プリズムを「聖数」である「7」にちなんで7色としたところから始まったそうで、その英米式を日本が採用した、ということらしい。


そのニュートンよりずっと前から、ヨーロッパでは音楽と自然現象を結び付ける研究がされており、「虹の各色の帯の幅が、音楽の音階の間の高さに対応している」と考えられていた。
実際、その考えに沿ってロシアのスクリャービンという作曲家・演奏家は、1910年に虹の7色を<ド=赤><レ=黄><ミ=空><ファ=深紅><ソ=橙><ラ=緑><シ=青>とピアノの鍵盤上に設定、演奏をすると音に反応した色のライトがスクリーンに映し出されるという試みをしたそうな。


ところで、「色聴」というものをご存じだろうか?
世の中には「音階や音楽に色を見る」とか「文字や数字に色がついて見える」という人がいて、これは、視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚などの五感の中のひとつが受け止めた刺激が、その感覚器官以外に感性反応を引き起こす「共感覚」現象のひとつ。感じる色は人それぞれらしいが、<レ>の音からは<黄>を感じる人が多いとか、傾向はあるらしい。
実際に<ド>から<シ>の7音の周波数と、虹の7色の光の周波数はおおよそ一致しており、特に五感の発達していた古代の人々にとっては、音が色を喚起させることは自然なことだったのでは、と言われている。


実は私もこの「色聴」持ち。でも音階ではなく、数字や文字に色がついて見えるタイプ。たとえば私には<1=白><4=紅><7=黄緑>とか、<つ=生成色><よ=小豆色>に見える。ザンネンながら、それが人生に何か劇的なものをもたらしたということは一切なく、ずっと誰もが感じていることだと思っていたけど、こういう脳は古代仕様で、野性が強く残っている脳なのかもしれない。


音楽をやる人には色聴持ちも多いそうなので、もし剛っさんにそんな感覚があれば、なければ「ある」というアーティストとコラボして、このスクリャービンの実験を試してくれないかな、と思ってしまう。
彼の頭の中にある「NIJIの詩」のイメージを、音だけでなく光のプリズムに変換してステージ上で表現する、なーんて、なかなかステキなアートだと思うんですが。