チェルノブイリ25周年


昨日はチェルノブイリ原発事故から25周年でしたね。
あの日、私は一体何をしていたんだっけ。ニュースで知って「怖っ」と思ったのは覚えているけど、正直「遠い国の出来事」という感が強くて、それよりもジョン・レノンや尾崎豊の訃報を聞いた時のシチュエーションの方がクリアな記憶として残っている、その程度。


「原発は安全」「未来のエネルギー」と言われて育った私たちの世代は、学校の遠足や社会見学で原子力発電所というところに連れて行かれたことがある人も多いんじゃないかと思う。その時の、誇らしげに子供たちに原子力のスバラシイ可能性を語っていた発電所のおじさんや担任の教師のどや顔をよく覚えている。あの頃の未来は一点の曇りもなく明るかった。
そうやって早々に洗脳されていた私にとってはチェルノブイリが最初の「ショック」であり、世の中がチェルノブイリすなわち原発の危険性を声高に叫び出した辺りでやっと「他人事ではないんだ」、と思い至った。


その後、ブルーハーツの「チェルノブイリ」が所属レコード会社メルダックの親会社が原子力発電事業に関わっていた三菱電機だったため発売許可が下りず、自主制作での発売になり、同じく東芝EMIが親会社の東芝が原子炉のサプライヤーだったことから、反核・反原発を歌ったRCサクセションのシングル「ラヴミーテンダー」とアルバム「COVERS」を発売中止とした。(後にキティレコードから発売)
そんな事件をきっかけに世の中に危機感や疑問を持ち始めた若者も多かった。


が、そのチェルノブイリ事故のわずか2年後、NASAの研究者が「地球は温暖化しており、原因は二酸化炭素にある」と発言したのを受けて、原発大国フランスが「原子力は二酸化炭素を生まないクリーンエネルギー」と主張し出し、そのへんから世の中の目は急激に「温暖化防止」のエコ方面に集約され、チェルノブイリは「杜撰な管理の招いた単なる事故」として片付けられ、これまた急激に忘れられてゆく。


ちなみに私は地球の温暖化は車の排気ガスによるものが大きい説を採る。
そこをアメリカ(の自動車産業界)は京都議定書を無視することでシラを切り続け、同じく肺がんの原因が排気ガスによる大気汚染にあると言われると素早くたばこ会社にその責任を押し付け、いつの間にかそれが定説になった。
その裏には原発の恐ろしさをウヤムヤにしたのと同じ力が働いていると思う。
それを心地よい贅沢な暮らしの中で、忘れたり、忘れたふりをして来たのが世界中の、特に日本の大方の人のこの25年間だったのじゃないかと思う。そうでなくてもこの「とりあえず」の平和の中でできたことは、選挙で「反原発」をうたう泡沫候補に一票を投じることくらいだったわけで。


今頃「ずっとウソだった」なんて歌ってるあの斉藤某さんも私とほぼ同世代。ずっとウソでずっとクソだったこと、あんただってずっと知ってたでしょうが。今更何言ってんだ。と、おばはんは思いました、正直。
あんな泣き言が動画サイトにupされ「圧力」に削除されるイタチごっこが鬼の首獲ったみたいに騒がれてるその裏で、今もブルーハーツの「チェルノブイリ」もRCサクセションの「サマータイムブルース」も「圧力」もかけられず同じ動画サイトで観られるってことは、そんな「ムーブメント」が20数年前にあったことを、やった方もやられた方も忘れてしまってるってことね。おめでたすぎ。


とにかく。私たちは忘れてはいけないのだ。私たちは忘れやすい、ってことを。
「政府」や「東電」は敵ではない。敵は「忘れてしまう」自分なのだ。


RCサクセション サマータイムブルース
http://www.youtube.com/watch?v=MIbrxhv_s_M&feature=related
The Timers 偽善者 
http://www.youtube.com/watch?v=6-6KyKUuSqY&feature=related