ビジュアル系とわたくし


以前にも書いたけど、今ヨーロッパで日本のビジュアル系バンドの人気がハンパでない。ちょっと調べても、毎年ツアーに来てるバンドがいくつもある。その辺を仕切るエージェントが決まっているのか、大体行くのはドイツ、オランダ、フランス、ハンガリー、ポーランド、フィンランド、ロシア辺りが多いようだ。彼らの日本での人気はピンキリらしく、武道館2DAYSなんてやってるバンドもあれば、ほとんど知名度のないバンドもあるらしい。
後者の方々も、昔で言うと日本でまずブレイク、逆輸入みたいな形で本国アメリカでも売れたCheap Trickの例もありますし、がんばってください。例えが古すぎて励ましにならないですか。そうですか。


正直、おばはんには食指がぴくりとも動かない現代ニッポンのビジュアル系(以下V系)。そんな話題をまた蒸し返したのは、なんとウチの近くに「OROCHI」(”ヤマタノオロチ”ですよ!私ってば三輪山に呼ばれてるのぉっ!?)というV系バンドがやってくるという話を小耳に挟んだから。
彼らのオフィシャルサイトを見ても、現在ヨーロッパツアー中ながらそんな予定は入っていないところをみると、急に決まったライヴなのだと思われる。しっかし、そのライヴハウスがあるのは市の中心から離れた郊外の小さな町で、周りには牛や羊しかいないようなところなのにもかかわらず、チケットはSOLD OUT。
今更ながら、このニッポンV系人気はどうも本当らしい。


さて、そのOROCHI、彼らのビジュアルはというと、バンドのキャッチコピー「Samurai Rock」のとおり「和」テイスト。サムライ+ニンジャ+キモノ+IZAM+マリリン・マンソン、ヒジョーにわかりやすい和洋折衷にRockなイメージ。日本古来の楽器なんかも使っているどこか懐かしいサウンドが、なぜかオーストラリアで人気があるそうで。
オフィシャルサイトの彼らのメッセージが、<和魂洋才はおろか、全ての和の習俗を捨て去らんとする昨今の我等日本の風潮><志士よ我等と共に廃れゆく和文化の為に一矢を報ゆらむ>と、ツッコミどころ満載のコンセプトの壮大さに笑う。しかも彼らのアルバムの中の「櫻」って曲、歌詞がまるっきり「堂本剛がサムライだったら ソメイヨシノ編」で、再度笑かしていただきました。ここまでやるってことは笑ってもいいんだよね?楽しかったです。ありがとう。
よろしかったら♪ http://orochi.info/home.html ※「櫻」はコンテンツの「音源星」のとこをクリックするとあります。


しかし、昨今ニッポンのV系もかなり細かくジャンル分けされてきているようで、チラッとそのルックスだけ見ても、ホラー系、アンドロギュヌス系、メルヘン系、SF系、果ては怨霊系(笑)等々いろいろあって面白い。
その相当な玉石混合の中、あちこちでDIR EN GREYというバンドの評価が高いようだったので動画サイトで見てみると、今は全然V系じゃなくなっていて、一見西海岸あたりのオルタネイティヴ系バンドみたい。サウンドを聴くと、デスメタルっぽいギターにハードコアパンクっぽいヴォーカルとかなり骨太。特にヴォーカルがかっこいい。と思ったら、元STALINの遠藤ミチロウ・トリビュート・アルバムなんかにも参加してる。やっぱり根っこがパンクらしい。PVのビジュアルなんかも面白いし、アメリカじゃマジで売れてると聞いても納得。


まさに雨後のタケノコ的に増殖しているV系バンド。今ならまず海外でブレイクのチャンスも大アリで、がんばるお兄ちゃんたちも多いんでしょうか。
最近、音楽は特に「住み分け」がはっきりしすぎてしまっていて、こういう機会(ブログのネタ探し含む)でもないと一生聴かないものが増えてしまった気がする。どんなジャンルであれ、面白いものは面白いし、いいものはいい。もっと心の広い野次馬にならなくてはっ、と思いました。