Kinki VS 「嫌消費」世代の研究

<昨日のつづきです>


さてこの「親子という病」。著者の香山リカさんは精神科医としてマスコミにもよく登場しているけど、彼女って80年代初頭、まだ洋楽のみ扱っていた頃の「Fool's Mate」で音楽コラムやレコード評などを書いていたのよね。音楽にも詳しい人だからどんなふうにこの現象を考えてるんだろう、と思って読み進めたけど「ありがとう現象」については結局「?」付きの考察のみ。でも最後にこんなことを言っていて、実はこれが私の引っかかっていたことでもあったのでした。


《今本当に必要なのは「家族が一番!」と声を更に高めることではなく、家族がいてもいなくても、自分の目を心の中や過去あるいは家庭内などの内側ではなく、社会や世界あるいは他人など外側に向けることなのではないだろうか》


そうなのよね。なんだか今の子たちって精神的に「引っ込んでる」気がする。一見外は向いてるけどあんまし遠くは見てないっていうか。
そこで、剛の書いた詞「Family〜ひとつになること〜」。
まあね、深読みしなかったら<命を、家族を大切にしてこーよ。愛し合おうぜ、ベイベー>という歌なんだろうけど、ああいう視線が内側向いてんだか外側向いてんだかビミョーな「ありがとう」を今2010年に書いた剛の気持ちにますます興味が湧く。しかしPVはなんかマイケルジャクソンみたいだし、クリスマス=チャリティー的なアプローチなんだろーか。もしかしてユニセフ大使とか狙ってんのか?(笑)


そしてもう一冊、KinKi世代を面白い視点で斬っている本をナナメ読み。
「嫌消費」世代の研究 −経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち−松田一久著。
これは著者が1979年〜83年に生まれた世代を「嫌消費世代」と名付け研究した本で、彼によるとこの世代の特徴は収入に見合った支出をしない。そしてその価値意識の源は「劣等感」の強さにある、という話。


理由としてはバブル崩壊後の社会的な価値観の変化による混乱。人間の勤勉性を獲得する必要条件である他人への信頼感がいじめ問題の深刻化によって学童期に醸成できなかった、ことなどだそうな。
う〜ん、「物欲がない」と公言するKinKi(特にコーイチくん)はまさにど真ん中ストライクか。「ありがとう現象」にもどこかいわれのない劣等感のニオイがしなくもないし。


そういえば、彼らよくイジメが出てくるドラマに出てたよね。どこにも救いのない「人間失格」も二人が出てるからと、あの野島脚本と知らずに動画サイトで見ちゃってもー憤死しましたよ。腹が立って三晩くらいマジでよく眠れなかった。        多感な少年にあんな役やらせたら影響受けないワケがないって。剛の人間不信もまたあそこで培われたんだと、おばはんは信じてやみません。(涙)