「SPEAK LOW」@Mステ


Mステの「SPEAK LOW」、絶品でございました。
わたしは褒め言葉のボキャブラリーが異常に貧困なので、こういう問答無用でかっこいいものを見た時は「かっけーーー!」と一声叫んだあと、わなわなあうあうするだけでそれ以上の言葉が出ないのが残念すぎて泣けてくる。


バックを務めた堂島孝平くん率いるバンドの、小松シゲル(Dr)隅倉弘至(B)松井泉(Per)sugarbeans(Key)という渋い布陣は、この曲のレコーディングメンバーだそう。
初めて聴く(多分)フルヴァージョンは、ジャズファンクっぽいアレンジ。ポケットに手を突っ込んで体を揺らす剛さんが「古い日記」のカヴァーを思い起こさせた。ふたりはデザイン違いの鈍く光るスーツに黒いシャツ。薄暗いBARの片隅で強いお酒をチビチビしながら聴くLIVEのようなアダルトなムード。


先日の「鍵のない箱」@どぅんつくぱでも書いたけれど、今回彼らが「歌う」曲で勝負してきたのがとにかく嬉しい。狂おしく切ない恋の歌は彼らにとてもよく似合う。その熱い想いの陽炎の向こうにゆらりと現れる生身の男(35)。 普段、仙人だの乾燥肌だの枯れたようなことを言っておられるが、そんな「自称」を鵜呑みにしてはいけない。あの美しく雅な富士とて休火山。その地下にはふつふつとたぎるマグマを抱えているのである。いわんやKinKi Kidsをや。


もともと「SPEAK LOW」と言えば、古いジャズヴォーカルのスタンダードナンバー。
Speak low
When you speak, love
「愛を語る時は優しく囁いて、あなた・・」という甘い出だしの曲ながら、「時はあまりに速く過ぎ 恋は儚い 恋は純金 時は盗人」と、この幸せもすぐに消え去ってしまうかもしれない、「だから今すぐ愛を囁いて、あなた」と続く。これもまた「あまりに愛が大きすぎると失うことを思ってしまうの」な世界で、とても切なくドラマティックな曲調はKinKi Kidsの世界に通じるものがある。世界中のいろんな方がカヴァーしているのでyoutube辺りで是非どうぞ。


それにしても、曲を提供してくれた堂島くんのKinKi Kidsプロデュース力にも平伏する。彼が彼自身に描くのとはまた全く違った「KinKi Kidsの世界」を作り上げてくれている。それにこの曲には「カナシミブルー」を彷彿とさせるフレーズがいくつかあったりして、もしかしたらこのM albumの「Moments」の曲にはタイトルだけでなく歌詞にもそっとMemoriesの影が差すような、小さな仕掛けがしてあるのかもしれない。それをコツコツ探すのもまた楽しそう。


KinKi Kids、いつにない怒涛の進撃で後輩くんたちの番組にもちょこちょこ出演が決まったようですが、歌がじっくり聴けるのは7日のLIVE MONSTERかな。「硝子の少年」「ボクの背中には羽根がある」「Secret Code」「SPEAK LOW」の4曲が聴けるそう。