初・平安神宮ライブの感想どす


平安神宮ライブに行ってまいりました。
雨の降った6日だけ不参加、というビギナーズラックがあったものの、雨の中で聴く剛さんの歌、というのも捨てがたい感満載。でも、文句は言うまい。7日はほんとうに美しいお月夜で、ライトがなくても周りがはっきりと見えるほど。曲が終わって、剛さんの伸びやかな声がライトとともに消えるたびに、ふわりと戻ってくる月明かりと虫の音に包まれる。その数秒間の、えも言われぬ幸福感。ああ、これが平安神宮という特別な空間で剛さんがライブを続ける理由なんだろうな。


しかし、その月下で奏でられたのは意外なほど強いメッセージを帯びた曲たちだった。これまで「祈り」を捧げる場だったものが、今回のテーマは「平和」と剛さんが言っていたとおり、祈りから一歩踏み出し、この混迷の続く世をともに生きていく人から人への「メッセージ=意志」を奉納したような、明るく強い力が漲っていた。


セトリは、
 1 平安FUNK
 2 Ginger
 3 Clap Your Mind
 4 赤い鼓動のHEART
 5 街
 6 空が泣くから
 7 FUNKAFULL FUNKAFULL
 8 愛 get 暴動 世界!!!
 9 Say Anything (6日と7日のみ)
 10 I gotta take you shamanippon


新曲が2曲。大半ははいわば彼が彼自身と闘っていた頃の曲だ。
あの頃の映像を観ると、彼がほの暗いステージの上で何かを求めてあえぐように歌っている。まるで山椒魚が閉じ込められた暗い岩屋から水面を見上げては深いため息をついているような、観る者を同じ深みに引きずり込む、閉塞した世界からの闘いのメッセージ。


  ♫ 負けたくない 逃げることはしない
       答えの無い 魂で終わりはしない


  ♫ 僕らはどこまで堕ちるの?
       使命と光を自分で感じろ
       勇者を待つな


  ♫ 愛を死なせるな 唱え 唱えろ
       君だから行ける 僕なら行ける

 
あの頃の彼が命をかけて生み出し歌った言の葉たちが、今年の平安神宮では驚くほど昇華され、全く別の視点、別の世界観を生み出していた。彼の内側でこだまし続けていた大きな疼きが岩屋を壊し、暗い水底から光る空へとおどり出したみたいに、解放の喜びと確信に溢れている。
ひとつの時代が終わり、新しい時代が始まったんだろう。祈りの次にあるものは、平和へのアクション。


蝉時雨の中ひとりぶらぶらと歩いた京都で、前夜「空が泣くから」で大極殿の屋根に映し出された龍を思わせるような雲がゆっくりと流れていくのを観たあと、新幹線で帰宅。するとちょうど夕立があった後で空に大きな大きな虹が。龍神さまからのビギナーズラックが粋すぎて、また絶対に行くぞと鼻息荒く終了した平安神宮ライブの旅なのでした。