「プラトニック」#2 


「プラトニック」第2話、沙良の周辺の事情がわかってきた。
何故か青年を前にすると皆ぺらぺらと正直に自分の胸中を語りはじめるのだ。家族にとって大きな救いの手となった男だからと言うより、我欲を捨て去ったその眼と対峙した時、自分の内面を見透かされたような居心地の悪さを感じて、つい「懺悔」してしまうかのように。


そしてここで明かされたのが、沙良と前夫・佐伯の離婚のいきさつと、沙良の心の闇とでもいうべき部分。
未熟児で先天的な心疾患のある沙莉を生んだ時、その子への罪悪感から彼女は女であることを捨てた。子供とふたりで生きて行こうと決めた彼女は、仕事しか頭になく自己中心的な夫を疎ましく思い、離婚を画策する。セックスレスの日々を何年も送った後、夫に女を差し向けたのだ。その「浮気」現場を押さえて、すがるような目で彼女に許しを乞おうとする夫を後にエレベーターに乗り込んだ彼女は頬の涙をぬぐい、かすかに微笑む。もう、娘と私の小さな世界から邪魔者はいなくなった。
だが、佐伯は青年に「今でも愛しているのは沙良だけだ」と告げる。娘の沙莉も父を慕っているが、母のことを気遣うがゆえに、沙良の前では「ママがいればいいの。パパなんていらない」と言う。


沙良のしたことは恐ろしくもあるけれど、自分ならどうしただろうと考えると、彼女のしたことがそれほど常軌を逸したこととも思えない(多分彼女は私よりずっと行動力があっただけだ)。心を許して相談する相手もいない彼女には、そうして自分に「罰」を与える以外にできることがなかったんだろう。そして、夫にも「罰」を与えると、自ら「檻」に入り、中からかちりと鍵をかけた。


沙良、沙莉、佐伯、和久、まあさおばさん、ホームレスのテツさん、このドラマに登場する人たちは皆優しい心の持ち主なのに、それを素直に伝え合うことができない。運命のいたずらに傷付き、愛に迷ってしまった人たち。
そこに現れた青年は、彼自身も思いがけないことに、彼らのその絡み合った糸をほぐし、ひとりひとりの傷を癒す役割を担い始めたようだ。


しかし、今回一番驚いたのは、お見舞いに出かけて沙莉と握手をしたコンビニのバイト君(手を握ることでその人の近未来が見える力がある)が見たイメージ。それは「心臓移植が成功した」ことを意味する。いよいよ青年に死期が迫っているのか。
でも、ふとわたくしの頭をよぎった「提供者は青年とは限らない」可能性。青年以外の一親等と言えば・・・大どんでんがえしのありやなしや。


そして、何があっても穏やかに微笑む青年が、発病からその諦観に至るまでの謎の2年間、というのが益々気になる。何がきっかけとなって、彼は苦しみから解放されたんだろう。
今回は沙良と婚姻届けを準備するところまで行ったが、未だ彼の名前すら明らかになっていない。でも、一瞬ちらりと画面の端に映った婚姻届けに押された青年の判子の名字、これが単なる野島さんのいたずらなのか、何か意味を秘めているのか・・。
まだまだわからないことが多すぎる!残りあと6回しかないのに!!