KinKi Kidsは富士スピードウェイの夢を見るか


すいません、世の中「小喜利」で湧いている中、「ラッシュ」です。
KinKiが吹き替えをする日本語版を私は観られないので、とりあえず今ここで上映中の映画館へダッシュ。以下はさっくりとレポートです。


結論から言うと、すっごく面白かった。wikipediaを読めば、この76年のジェームス・ハントとニキ・ラウダの壮絶なチャンピオン争いは結末まですっかり「ネタバレ」されているのだけど、それを読んでから観ても何の問題もない。


ド迫力のレースシーンにはアドレナリンがダダ漏れる。この年は、ハントのマクラーレンチームの2度の失格処分、ニキが大火傷を負う事故と奇跡の復活等々大きな話題に事欠かないし、数ポイントをかけて最終戦の日本GPまでもつれ込む優勝争いは観ていて飽きることがない。しかも、その派手なレースシーンの間に、彼らの人間像を描くエピソードが丁寧に盛り込まれて、剛さんも言うように、F1を全く知らない人もつい引き込まれてしまう魅力的なドラマに仕上がっている。


実のところ、最初にこの日本語版吹き替えのニュースを聞いた時、「戦う男の熱い友情とKinKi Kids?」とか若干いぶかしんだものの、エンドロールが流れる頃には「あらなんだかちょっといいかもーん♡」とほくそ笑んだわたくし。と言うのは、そこにあったのはベタな「友情」というより、オノレのプライド懸けたレースを一緒に走るライバルへの「リスペクト」だったから。


ライバルチームのレーサーだから、コースで顔を合わせれば、ニキに憎まれ口ばかり叩くジェームス。だが、ニキの才能を一番認め、気にしているのもまたジェームス。ニキも傲慢で子供っぽいジェームスのピュアで繊細な一面をよく理解し、その天性の才能を認めている。熱いエールの交換も何もない。ただ、勝つために超えなくてはならない相手が誰なのか、お互いにわかっている。そんな関係。


しっかし、このふたりがまたややこしい人たちで。
光一くんが声を演じるジェームスは、5000人斬りとも言われた自由奔放なプレイボーイ。いつも華やかに女の子たちをはべらせ、酒に溺れ二日酔いでレースに臨むような破天荒な天才レーサー。だが、その陰に寂しがり屋で死の恐怖を女遊びや酒で紛らわす繊細な男の顔がのぞく。
それに対し剛さんが演じるニキは、レース結果の分析やメカの知識を重視する理論派でストイックな努力型のレーサー。常に冷静で感情を表に出すことはないが、その内側に勝利への凄まじい執念を秘める男。しかし、愛する妻へ詩のような言葉を贈る優しくロマンティストな面もある。


一見、キャスティングは逆の方がイメージしやすいかなとも思われたが、冷静に考えたらこの方が情熱の「赤」の光一くん、冷静な「青」の剛さんというKinKi Kidsのふたりの本質に合っているのかも。ジェームスとニキ、とても対照的なふたりながら、どちらもそれぞれの孤独を生きているかんじとか、うん、なんかこれはKinKi Kidsにやってほしいぞ、と思えた。


ふたりが優勝をかけて走る最終戦のシーンが印象的だった。当日の富士スピードウェイは大雨。前もよく見えないような強い雨に打たれながら、スタートラインに並ぶマクラーレンとフェラーリ。彼らのヘルメット越しに交わす目と目が、ともに走れる歓びに満ちている・・。


★おまけ(という名の本題)ですが、うぉっほん。ジェームスにはナースとスッチーとの2回のワイルドだけど短いラブシーンがあります。ニキの方は、堅物なので甘いシーンはなし。ジェームスのナースを口説く気障なセリフとか、ニキの妻に向けた真摯な言葉などは、映画館でしばし目を閉じてじっくりと聴いてみたいものであります。
あ、それとこのお話は、最初と最後がニキの回想という作りになっていてニキの長目のナレーションが入ります。