「NIPPON」ドイツ語レビュー翻訳


以前、ドイツのThe-Pitという音楽誌のサイトに「NIPPON」のレビューが載ったのを少しだけ訳してみましたが、全容をちゃんと知りたかったのでボチボチと全文翻訳してみました。
誤訳超訳時々捏造、ドイツ語をキチンと勉強された方にはツッコミどころ満載だと思いますが、アバウトに「こんなかんじだったんだな」と読んでいただけたら嬉しいです。
ちなみに、最終段落が意味不明でどうにも難しかったので、最後の手段とばかりに技術系の翻訳(ドイツ語→日本語)をやっているドイツ人の友人に問い合わせてみましたが、「これは書いた人の造語というか、詩的な表現が多いから正解はないんじゃないの。僕にも訳せないよ」と言われ、そんじゃまあ、と開き直って自分なりに訳してみました。
<原文>http://www.the-pit.de/cd-review/article/tsuyoshi-domoto-nippon/

         
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日本の音楽を愛する者が、「ジャニーズエンターテイメント」という名を聞いて眉をひそめる、それはよくある反応だ。若い男性アイドルの事務所ということだけでなく、議論の余地のあるその評判からだ。同様にボーイズグループは必ずしもこの雑誌(The-Pit)の管轄ではない。
しかし今、KAT-TUNや嵐のようなビッグネームと比べるとまだ未知の存在であるマルチな才能を持つ堂本剛が、明らかにユニークなアーティストとして、コンピレーションアルバム「NIPPON」をGANSHINからヨーロッパに向けリリースする。


マルチな楽器プレーヤー、歌手、作曲家、優れた俳優、ポップスターという多彩な才能を操ることが、彼にとっては何でもないことなのだということが、彼の母国の名をつけられたこのアルバムを聴けばすぐにわかるだろう。
彼をひとつの分野にカテゴライズするのは難しいのだが、特にこのCDの変わった構成がそれをより複雑にしている。前半はエレクトロニックでファンキーなロック、ジャスやブルースに影響された曲、そしてライブ音源を含む後半は、それと全く輪郭を異にするサイケデリックなインスト、バラード、伝統的な日本のメロディーへとゆっくり変化していく。


シンセや時折入るギターソロと伝統的な音のブレンドからダンサブルなファンクロックへと変化していく、まるで日本そのもののような鮮やかな彩りを持つ「美我空」でこのアルバムは始まる。
既に暗示されているように、堂本剛の並み外れたアーティストとしての資質が、このCDのリリースにとりわけ重要だったことは間違いない。というのは、傑出した歌手として知られている彼が、このアルバム「NIPPON」に於いては作曲家としての才能だけでなく、楽器パフォーマーとしてもかなりの可能性を見せているのだ。アルバムタイトル曲「NIPPON」のイントロ部分の偉大なブルースロックのソロや「Chance Comes Knocking」でのスラップベース(チョッパー)の剛の潔さにはそう納得させる力がある。「空が泣くから」の熟練された歌声、全ての曲の完璧に計算されたストリングスとコーラス、その伸びやかな響きには胸が躍る。


この部分だけでも多くのスタイルの変化が見られる−派手なシンセとロックギターのうねる、風変わりなインスト曲「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」(この奇妙なタイトルは、古代魚Flösselhechtsのラテン名の一部)、そしてこのCDでおそらく一番キャッチーなナンバー「Blue Berry−Nara Fun9 Style-」。最初から最後までファンク、ホーン、そしてワイルドなソロに魅了される。特にバックのゴスペル隊の壮大なコーラスが耳から離れない。
アルバム後半はそこから急激に変化する。何曲かがライブ音源ということだけでなく、音楽的に前半とは大きく異なる。9分から12分もある「時空」「ソメイヨシノ」は、どちらもジャムセッションと環境音楽のミックスのような印象。エコーギターの長いインスト部分、サイケデリックなメロディーやホーン、そこにアカペラの歌唱が入ってくる。
アルバムの最後に収められているのは、ピアノの旋律が美しいバラード。他の曲のクオリティーももちろんだが、特にこの「縁を結いて」の彼のソウルフルな声は鳥肌モノだ。


若干最後の部分が長すぎる感はあるが、堂本剛の真にマルチな才能と多彩なパーソナリティーによって、「NIPPON」は愉しめるアルバムとなっている。彼の独特な声は、印象的な楽器演奏と同じくらいの説得力がある。そのドライヴ感、なめらかな球体のような広がりは、ハイレベルな感動を呼ぶに違いない。
個性的で熟練されたソロアーティストを探している人に、剛の「NIPPON」は間違いなく幸福感を与えてくれることだろう。