ボーイズラブ鑑賞記


郷ひろみを卒業して以来数十年ぶりにジャニーズ方面に目を向けてみて、「やおい」というもの、そして「腐女子」という方々のパワーの凄まじさに驚く。


ワタシは自慢じゃないが日本における「ボーイズラブ」(当時は「少年愛」と日本語だったけど)の萌芽をリアルタイムで目撃した世代である。  


マンガが好きで、70年代後半に始まったコミケにも行った。当時まだコスプレはアニメ同人誌の人たちがブース内でやってる程度。キャラたちによるBLもまだKinKi がやってる程度の(笑)たわいもないものが多かったと思う。その傍流として、ヨーロピアン調のビラビラしたレース満載のお洋服にソバージュというインビなアート系お姉さまたちが描いていた、D・ボウイやらD・シルビアンやらの美形ロックスターBLがあったっけ。確か「やおい」という言葉が生まれたのはこの頃。


それとほぼ時を同じくして「JUNE」創刊。ええ、買いましたよ、買いましたとも。  創刊号なんて、萩尾望都、竹宮恵子、大島弓子、木原敏江etc.とその道の大御所が勢揃いで、ニッポンの美少年好き耽美派乙女は全員書店にダッシュしたはず。「やおい」好きかどうかは別として、当時のマンガ好きサブカル少女たちにとって「少年愛」ブームはどうにも避けて通れないものだったのだ。


さて、キョービのBL映画を観てみる。なにやってんだ、アタシ。勉強です。     まさかと思ったが某C国の動画サイトにはニッポンのBLまであったので、とあるBLサイトで評価のよかった1本を有難く見せていただく。
それは、特に美少年というわけでもないリアルにそのへんにいそうな大学生男子AとBのラブストーリー。料理するAをBが後ろから抱きしめて軽いキス、裸で横たわるAの隣で服を着るB、とかたまにそんなシーンが入るものの、ストーリー自体は二人の間に小さな誤解が生じてケンカになるくらいなのが一番の山場という、かなりヌルく素朴な「やおい」話であった。


BL映画、意外とまだ観る方のココロの準備ができてないのかな。あんなもんで喜んでちゃいかんよ。やるんなら腰据えてやんないと。でももしかすると彼らのフツーの私生活を覗き見するようなあのかんじがツボなのか?


月9とかも煮詰まってんならこのテーマでマジでやってみなさいよ。視聴率取れるから。とも思ってみたが、結局「同性愛」ってのは今のニッポンでまだ一番カミングアウトできていない部分なんだよね。はるな愛みたいな男だけど心が女子な性同一障害者は市民権を得られても、例えばコーイチくんみたいなどこから見ても健全な男子が男の心でもってサワヤカに「実は剛を愛しています」なんてカミングアウトするのはまだ時期尚早というか、未だタブーなパターンなのだ。            タブー、他ではもう聞けないこの甘美な響き。だから腐女子も萌えるわけで。


ところで、KinKiの熱愛都市伝説は数あれど、ネットで読んで一番笑ったのは、「信号で止まったら隣が光一が運転する車で、助手席に座ってた剛と仲良さげに一本の缶ジュースを回し飲みしていた。二人はとても楽しそうにおしゃべりしながら、そのまま光一のマンションに消えて行った」というもの。この人、いいセンスしてる。「車の中でキスしてた」とか言うより、ミョーな現実味があって座布団3枚くらいあげたい。