「TU FUNK TUOR 2015」@大阪城ホール


今日は剛さんの「TU FUNK TUOR 2015」の初日。今回のツアーで一番大きなホール公演とあって、いろいろと驚きの趣向が!(笑)
以下、Twitterで拾ったレポでまとめました。



■ 衣装は全て白。ティアドロップ型のサングラス、パンツ、ジャケット、ラメベスト、ノースリーブ(黒い鳥のプリント)、インナーは唯一黒のタンクトップ。靴も白のルブタン。レモンクォーツのネックレス。


■ メインステージから張り出す数メートルの花道〜センターステージ。センターステージの中央に50㎏ほどのクリスタルと、ステージ正面にも大きなものが2個。(剛さんの私物もあった模様)


■ メンバーはなんと総勢21名のBIG BAND!(敬称略)
<ギター>竹内、清水、ボブソン、剛
<ベース>KenKen、多聞
<キーボード>SWING-O、十川
<ドラム>豪太、DUTTCH
<ブラス>かわしま、ルイス、小沢、SASUKE、鈴木圭(新メンバー)、佐野聡(新メンバー)
<パーカッション>スティーヴ
<コーラス>オリビア、恵子、Tiger、カオル


■ MCに入る前
剛「ああどうぞ座って下さい、座れるもんならね」「どうぞどうぞ座って下さい、僕は立ってますけど」
客⇒笑いつつガン無視して着席


■ 「こういうビッグバンドでファンクをやるのが僕の夢だったんです。やれて本当に嬉しいけど、思った以上にうるさい(笑)」
■ 「日本のミュージックシーンでもこれだけ大所帯でやってるの珍しいですから。ジャニーズでも初です、もちろん。あ、確認しときますけど僕ジャニーズ事務所なんで。ちゃんとYOUいいね!って言われて入った人ですから」
■ 「またTUよしが大きい会場でできるようにみんな応援してね!」


■ クリスタルを『いしちゃん』と呼び、「おいしそう」と。
■ 「魂サイダー」の時、アルバムジャケットのクリスタルで目元を隠すポーズをペンライトを使って皆にやらせ、「鰯の大群みたい!!!(笑)」。「なにこれーー!FUNKやなぁ!チョー無駄な時間!!」。大爆笑の剛。
■ 剛先生による鉱物についての長いレクチャー及び奈良の天川村でしか採れないレモンクオーツの自慢。世界で唯一渦巻き状の気泡ができるそう。
■ 「FUNKは適当にやっているようでいて、とても緻密に作り上げる理数系の音楽である」


■ アンコールでスタンド前列と後列のあいだの通路をあの芸者さんのお面をかぶったスタッフが押すトロッコで周る剛。
■  「道があったんで。あのチープな乗り物に乗ったらモテますか?って聞いたらモテますって言われたんで」


フリーセッションでは・・・
■ ギターをクリスタルをピック代わりに弾く剛さん!
■ 剛さんにベースを奪われたKenKenが、手持ち無沙汰に右往左往。ドラムやらなんやらイジった挙げ句、最終的にタンバリン。
■ 剛さんが豪太さんのドラム叩いたり、KenKenのベース弾いたり。 剛→KenKenベース、KenKen→豪太ドラム、豪太→DUTTCHドラム、DUTTCH→スティーヴ太鼓と楽器を交換。
■ セッションでドラム叩いてる剛さんのそばで豪太さんがタオルで汗ふいたりマッサージしてあげたりしていた。
■ 竹ちゃんがトランペットを演奏。
■ アンコールを長いセッションで終わらせるはずが、更にアンコの拍手が起きて、もう1曲セッション。
■ 「本当にみんなどうもありがTU!」で、22時15分終演。


<セットリスト>

Tu FUNK
I gotta take you shamanippon
天命さん
Clap Your Mind
Chance Comes Knocking
Blue Berry
(MC)
FUNKY PANTIES
EENEN
いとのとち
人類の此処
(MC)
魂サイダー
愛 get 暴動 世界!!!
恋にも愛にも染まるような赤
Heart Disc
これだけの日を跨いで来たのだから
(アンコール)
赤い鼓動のHeart
いま あなたと 生きてる
FUNKがしたいんだ どしても
session1
session2


            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


21人の大所帯BANDを剛さんもバンメンさんたちもえらく楽しんだ様子。海外のFUNKバンドの映像など観ると、ステージにやけに沢山人がいる、あのかんじか。でも、大阪城ホールくらいの大きさがあって成立するものだと思われ、他では観られない貴重なものだったのかも。
しかし剛さんのソロでグッズにペンライトがあるとか、トロッコで登場とか、お手振りまでしてたとか、KinKiコンのセルフパロディーのようでもあり、つい笑ってしまった。しかもお面をつけたスタッフの押す人力トロッコと聞くとまるで小喜利の演出みたい。Shipで会場を練り歩いたあの「散歩」とはかなりニュアンスが違いそうで、やけに楽しそうなのだ。(トロッコ上の本人あまり楽しそうでなかったという声もあり(笑))


それにしても、今日のレポを読んでいて驚いたのは、ソロのMCで「ジャニーズですから!」と笑いを取ったいう部分。
彼はよくインタヴューなどで、「ジャニーズだから、とミュージシャンの方との共演を断られたり、色眼鏡で見られた」ことを悔しかったエピソードとして語っている。それはもう過去の話、ということか。今はお互いに信頼し合える仲間がいるし、何より「もうそんなことは言わせない」という、ひとりのアーティスト、ミュージシャンとしての自信を手に入れたんだろう。まだまだ様々な障害はあろうが、ジャニーズであるということのアドヴァンテージを今一番感じているのも剛さん本人だと思う。


「愛を歌うのも恋を歌うのも、どちらも自分」。彼の中でソロとKinKiの活動を隔てていた壁がいつしか氷解していく。「TU」を聴いていると、そんな風にどんどん自然体に還ってゆく剛さんを感じるのだ。
ああ、早く生声を聴きたい♡


SWING-OさんがFBにUPされたレポ・・http://jazzmaffia.exblog.jp/21954087/

MUSIC FAIR 「いま あなたと 生きてる」


「孤独をテーマにしたんです。誰もが孤独を持っていると思うんで、その中にある輝きっていうものをもっと信じていいんだよ、ていうことを歌にしま した」。


MUSIC FAIRで披露した曲は、「いま あなたと 生きてる」。
白いスーツ、今夜は少しピンクがかったクリスタルをマイクに添え、歌いながら時折、身体の奥のほうから何かを絞り出すように身を折る。
なんだかすごい貫禄だなあ(体格のことではありません、ごほごほ)。どんな曲でもワンフレーズで、もう彼のつくり出した世界にすっぽりと呑み込まれてしまう。


アルバムを何度も何度も聞いているうちに、この「いま あなたと 生きてる」と、「恋にも愛にも染まるような赤」には、どこか「街」と「溺愛ロジック」に呼応しているところがあるような気がしてきた。もちろん、彼はそんなことを考えてこの2曲を選んだわけではないだろうが、あの頃の孤独と、現在の孤独が深いところで共鳴しているのを感じる。
周りが皆敵に見えた頃と比べたら、気の置けない仲間たちに囲まれた現在の状況は天と地ほども違う。だが、その孤独から逃れる旅の途中で彼が得たものは、「求めず、与える」という、もうひとつの孤独だった。


熱く睦み合う男女を描いたところで、彼の世界には孤独の匂いがする。どんなに今が楽しくても、いつか全ては消え去ってしまう。「溺愛ロジック」の心臓を突くような痛みはもうないけれど、「それでもひとは皆ひとりなんだよ」と、現実を見据える彼の後ろにふわりと寂しげな笑顔が透けて見える。


それでも、信頼できる仲間を得、最近の剛さんはとても楽しそうだ、大きな口を開けて笑い転げてる姿を観ると、随分変わったなあと思う。「自分を辞めないで変わる」、これが孤独とうまく共存する術を少しずつ学んできた結果なんだろう。この「いま あなたと 生きてる」が、あの頃の強がっていた彼自身に、「孤独はあなたの敵ではないよ」と語りかけているようで、心をぎゅっと掴まれる。


クリスタルには圧力を加えると電気を発生させ、電気を通すと振動する性質があるそうな。なんだかそのまま剛さんのことのようだと思った。
この「いま あなたと 生きてる」には、今もプレッシャーの中で「僕を生きる」剛さんの、強いヴァイブレーションを感じた。

Mステ 「恋にも愛にも染まるような赤」


黒いシャツにてかてか赤いピッチリしたパンツ、派手なガウンのようなジャケットを羽織り、首にはいつもの水晶のネックレス。あー、かっこいい。


というわけで今回のMステは、アルバムから「恋にも愛にも染まるような赤」。
パンツ付CDは出したけれど、正式にシングルカットになった曲のないこのアルバムの中で、実質的なリード曲という位置付けなのかな。印象的なベースのフレーズで始まるこの曲、私はとにかく好きなのであります。
ステージセットは昭和のキャバレーかダンスホールか。真紅のドレープの緞帳に派手な花柄の絨毯が怪しい場末感を醸し出す。でも何が一番怪しいかって、剛さんを囲むように置かれた大きさも種類も様々なクリスタルの群れ。例の石屋のMARKさんがアレンジしたものだ。後述のSWING-Oさんのブログを見ると、どうやら「クリスタルミックス」に協力された石の方々らしい。


歌い始めた剛さんの手元を見ると、マイクと一緒にもう一本のクリスタルが握られている。20㎝くらいありそうな、あれは剛さんのペットロック、「ライトニングクォーツ」ではあるまいか。地下に眠っている時に落雷に遭い、その傷に強いパワーを秘める「雷水晶」。これもクリスタルの音響効果を狙ったものだったのかな。
それにしても、ちょっと眠そうな潤んだ目がまたセクシーだなこれは、とか思ってると一番背が高いクリスタルに跨って腰を振り、カメラ目線でそっとウィンクを。あばば。しかしそこで事件は起きる。剛さんやおら漬物石くらいの大きさの(あんまりクリスタルっぽくない)ひとつを抱え持って歌い出す。よく考えるとこの番組ではこのクリスタル隊については一切説明がなされておらず、ファン以外の視聴者には「は?」もしくは「え?」な光景だったのではなかろうか。相変わらずのミステリアスクリスタロス。


肝心の歌は、アルバムよりも少しワイルドなテイストで、ああやっぱりいいなあ、生歌生演奏♡この曲の、風を切って上昇する、大気圏をも突き抜けてゆくような狂おしいほどの爽快感がいい。
ふと思ったけれど、今回ほどバンドを意識した曲でTV出演することはなかったのではないのかな?少なくともshmamanipponを始めてからもシングルは皆しっとりとした曲ばかりだった。シングルを出さない、というのは、いろんな番組でアルバム曲をいくつも披露できて、ファン以外の方々にも剛さんの世界観を知ってもらえる機会を生む戦略でもあるのか。少しでも多くの人にこの最高にFUNKYなバンドのサウンドを聴いていただきたいものだと切に思う。


そして、明日23日はMUSIC FAIR、曲は「いま あなたと 生きてる」。



☆SWING-Oさんのブログ⇒http://jazzmaffia.exblog.jp/21730455
レコーディングの裏話など、特にクリスタルの音に及ぼす影響のことなど書かれています。

「TU」〜あるがままの永久へ〜


「TU」の宇宙に放り出されたまま、未だクリスタロス星雲の中を漂っております。


いやもう面白いのひとこと。「黒いものなら何でもアリ」的なバラエティーに富んだ構成。ファンクはもちろん、ソウル、モータウン、AOR、R&B、etc...SWING-Oさん、十川さん、そして今回参加された佐々木潤さんの三人三様のグルーヴ、一層深みを増したサウンド(+クリスタル効果?)、変幻自在の言葉遊びに万華鏡のようにくるくるとニュアンスを変える剛さんのヴォーカル。それらの生み出す色彩の豊かさといったら、一見とりとめがないようにも感じられるほどに自由奔放。サウンドを楽しむもよし、リズムに身を委ねるもよし、言葉の世界に遊ぶもよしという贅沢三昧。


剛さんの詩は、まるでシュールレアリストの散文詩のようだ。彼の言葉で言えば「鮮明で繊細な曖昧」。ぽいっと投げ出された言葉の絵具を使って、好きなように描いてごらん、と言われているような、聴くひとりひとりが想像し、答えを出すことを求められる。「YES・NO」のない世界。正解などもちろん、ない。


そこに新たな地平を拓く佐々木さんとのコラボも面白かった。剛さん曰く、「佐々木さんのアレンジがエロかったから、詩が自然とエロくなった」。歌詞カード読まずに聴いて本気で驚愕した『天命さん』(このファルセットのなんという神々しさ!)、そこここに暗喩を散りばめた『Funky舌鼓』、直球で音と戯れる『人類の此処』。どれも佐々木さんによるメロウなアレンジが、ますます洗練された剛さんの掛詞や押韻遊びに、上質でサブリミナルなエロティシズムを演出している。
この二人の邂逅がもたらした「FUNKY説法官能小説」=剛さんの煩悩の解放(?)は、元々FUNKという音楽から漂う粘っこいエロ波動と目合(まぐわ)い、shamanipponというくにに新たな生命力を吹き込んだように思う。


その他にも、『EENEN』の諦念を超えたところにあるポジティヴな開き直りの心地よさ、過去現在未来全部さらって「あるがままの永久」へ疾走する『恋にも愛にも染まるような赤』の、ひとつまた何かを脱ぎ捨てたのであろう剛さんの全てを呑み込むブラックホールのような引力も、これまでとは違った魅力だろう。彼は言う、「愛でも恋でもかまわない」「生きたいだけ生こう」「無で愛し合おう」。
これが、某誌のインタヴューで、スティーヴさんが言っていた「(彼が)その両手にいっぱい抱えていたものが、時と共に削ぎ落とされ、何かが明確に見えてきた」ということなのか。彼が自分自身を縛っていた観念から解き放たれた、その悦びがこのアルバムから迸り出る。
『Heart Disc』が、その悦びのひとつの究極の表現だろう。
向かおうとする未来が、いま彼の目の前にクリアに像を結んでいる。



                     ◆◆◆◆◆
 


私が最初に聴いたのは「ふつうよし」なのだけど、3種類あるパターンを試してみると、曲並びでアルバムの印象が随分変わって面白い。楽しみなのは9月2日に発売になるLP!その音質ももちろん、予約生産限定でチャートに関係ない分、細かいところに拘れそうだし、A面B面のあるレコード用の曲並びはきっと他と違うんじゃないかと期待している。ご予約まだな方は以下。


◇ れこーどうもとつよし ◇
CDアルバム「TU」からセレクトした8曲(予定)を収録する堂本剛初のアナログレコード!!!
  ¥3500 12インチアナログレコード1枚/2面4P歌詞封入
  ※完全予約生産限定 予約受付は2015年7月12日まで

Fashion&MusicBook FUNKY説法官能小説はじめました

先日のFashion&MusicBookでは、ニューアルバム「TU」から「EENEN」のお披露目。


< 「EENEN」は関西弁の「ええねん」。男女が意識し合ってる。でもそれを意識してないかんじにしてる。「いや、ええねんええねん。もう始まってるんだから始めてまえよ」っていう曲。
僕はこれから「FUNKY説法」とか「FUNKY説法官能小説」とかっていうジャンルを開拓して、ちょっとエロティックなファンクも書いていこうかな、と。
エロティック=下ネタじゃないんで、「FUNKY説法官能小説」とか言ってるんだけど、エロスの中にある儚さと切なさみたいなかんじを書いていけたら、日本語の古語とかの美みたいなものを表現できるんじゃないかと思って。そうすればラヴソングも書けるような気がしてきてる。ちょっと新しい試みというか、それなら楽しんで書けるんじゃないかと、今頑張ってる。ま、飽きたら飽きちゃうからわかんないけど。 >


「EENEN」、ほんの一部ながら、初聴きで印象に残ったのはその柔らかな声音のエロス。関西弁の「ええねん」は諦めの意味もあるけど、この「ええねん」は何もかも受け入れて包んでくれそうな、世界をも包み込んでしまうような懐の深さを感じる。音もなんだかやけに奥行きがあって、ついウツボカズラみたいな食虫植物をイメージしてしまった。ウッカリとそのかぐわしい匂いに誘い込まれたわたくしは、甘い「ええねん」汁に文字通り身を溶かされる。


相変わらず剛さんはラヴソング=恋ではなく愛、に強いこだわりがあるようだ。
剛さんのいう「FUNKY説法官能小説」がどんなものになるのかはわからないけれど、ふとD'Angeloの「Really Love」を思った。
14年ぶりにリリースされたD'Angeloのアルバム「Black Messiah」は、政治的メッセージの強い曲が多いのだけど、その中に「Really Love」というラヴソングがある。ただ歌詞を読めば、甘く官能的な「I'm in really love with you」というこの曲が、やけに切ないアレンジを施こされ「戦い」の中に挟み込まれるとき、別の物語が見えてくる。それは”戦士”の休息のひとコマかもしれない。この愛する人を守るために彼は戦わねばならない。平和の、愛のために戦う、という矛盾。
そんなアプローチのラヴソングは、ちょっと剛さんにも似合いそうな気がした。


この「EENEN」の他に、「FUNKY舌鼓」「人類の此処」が佐々木潤さんによるアレンジ+剛風官能リリックな曲だそう。じっくりと剛さんの新たな試みを堪能させていただきたい。

水晶のスパイラル


「ミネラルショー」というものに初めて行って来た。平たく言うと鉱物市である。
東京でも毎年「東京ミネラルショー」なるものが開かれていて、公式サイトを見ると、「国内外から360店舗が出店する鉱物・化石・隕石・宝石の“日本最大級の大展示即売会”」とある。
私が行ったのは30店舗ほどのとても小さなローカルなもので、「自分で掘って来ました」的なおっさんから、鉱物を使った作品を売るアーティストまでいろいろ。


昔から鉱物は好きだった。図鑑なんぞを眺めるとその美しさにわくわくするし、海や川で拾ったものや、山へ旅行に行ってお土産に買ったものが家にいくつかある。基本、洗練された宝石よりももっと石ころっぽい方が好みなんである。しかし、今回そんなところまでのこのこ出かけたのには目的がある。水晶である。クリスタロスである。剛である。
もちろん事の発端は例の「クリスタルMix」の話。聴いていてムラムラと興味が湧いたので軽い気持ちでいろいろ調べてみたら、けっこうな沼にハマってしまったので、息抜きに実物を見物に行って来たと。


大体、水晶についてじっくり調べたことなどなかったから、もう基礎部分でいろいろと驚くことがあった。「水晶は日本の国石」とか「ダイヤモンドと並んで4月の誕生石」だなんて知ってました?ちょっと奥さん。


最近剛さんが名乗る「クリスタロス」というのは、古代ギリシャ語で「澄きとおった氷」(古代人は水晶を氷の化石だと思っていた)のこと。古代エジプトでは「太陽光の結晶」「光の石」と呼ばれていたり、古代中国では「水の精」が宿る石と信じられていたり(ゆえに”水精”とも書く)、古代から世界中でその美しく澄んだ石は人に愛され珍重されてきたようだ。


日本でも、藤原宮跡で当時地鎮のために使われたとみられる水晶が出土したり、古代から「土地を清め、厄を祓う力を持つ」と信じられた水晶を磐座にしたり、水晶をご神体とする神社もあった。
実はあの天河神社もそのひとつ。
主祭神は市杵島姫命だが、それとは別にいくつかの磐座が存在するようなのだ。ひとつは本殿の下に。ひとつは神社の奥宮がある「弥山(みさん)」。ここは、役行者が天河弁財天をお祀りしたところで、山そのものがご神体とされる。そして、禊殿の背後にある高倉山もまたそれ自体がご神体なのだが、この山は古来から「水晶でできている」と言われているのだ。


調べ始めてすぐ分かったのは、天川村というところは昔から水晶を初めとする鉱物の有名な産地だということだった。水晶谷という地名もあり、鉱物マニアの方のブログなど見ると必ず天川の名前が出てくる。


先日「TU」のジャケット写真を見て、同じ白い衣装でも「縁を結いて」の白装束から随分遠くへ来たもんだと思った。が、こうして見ると、天河神社で剛さんの上にあの曲が降りて来たところから発進したSHAMANIPPONプロジェクトが、今水晶に繋がったことが、とても自然に思えてくる。


同じ年の「十人十色 水声〜suisei」のLIVEをふと思い出した。リリースされたばかりの「Nijiの詩」の、あのMVの東北の海を思わせる青いライトが印象的で、剛さんはまるで水底で音楽を奏でているようだった。そのLIVEの最中、いろんな言葉がスクリーンに映し出された。
「僕らは水の惑星に生まれた」
「僕たちは水なのだから、大きなNijiをかけられるんだよ」
「心を澄ませて水声をききなさい」


この惑星の澄んだ水と大地に育まれ、何億年もの時を内包する水晶と今こんな風に出会い、彼の音楽がまたひとつ豊かになってゆく。そう言えば、水晶というのは結晶構造が全てスパイラルを描いているそうだ。
「戻ることが未来」
それは決して同じ場所に戻ることではなく、ゆるやかに上昇するスパイラルを描くことなのだ。


                     ◇◇◇◇◇


<余談> 2004年に、地球上でブラジルにしかないと言われていた「レインボー・ガーネット」が天川村で見つかり、鉱物クラスタの間で大騒ぎになったことがあるらしい。これも是非ググって画像を見ていただきたいのだが、それはそれは美しい石で、知ったらきっと剛さんも欲しがるのじゃないかしら。当然日本中の鉱物マニアが天川村に群がったので、自然保護の意味もあって、以降採掘は禁止になってしまったそうだ。

Fashion&MusicBook ケンシロウのこと


今夜は、亡くなったケンシロウのことを話してくれた。
剛さんは思ったよりずっと普通のトーンで、淡々と話す様子はこちらが少し驚くほどだった。話の中にも出てくるけど、剛さんはケンシロウの存在を今も傍らに感じながら生きているんだろう。


< ケンシロウが4月の11日に天に昇った。
「TU」のアルバムにケンシロウもワンショット入ってる。もうあと(余命)1ヶ月かないとか言われている中、レコーディングに行って帰って来て病院連れてって、とかしながらこのアルバムを作った。
今回ジャケットにも使ってるから、ケンシロウにクリスタルの首輪を付けてあげた。これ(※その時身に着けていた様子)ケンシロウが使ってたやつをまたリペアーして使ってる。一緒に写真撮っといてよかったなーというかんじ。

アルバムにある「Heart Disc」っていう曲は、本来僕がおじいちゃんになった時にこんなこと思ってんのかなー、みたいなかんじで作った。途中で「きみを愛してるってことは、灰になってもそれは消えたりしない」、っていう歌詩を足したら、後でそれがケンシロウに歌ってるとか、ケンシロウが僕に言ってるとか、なんだか変な感覚になってしまった。そんなつもりで書いた曲じゃないんだけど。でもそういう風に聞こえちゃう、歌っててもそんな気持ちになっちゃう、みたいな。不思議。


12日に火葬、自分でお花をアレンジして、夕方3時33分に点火というかんじで。
その夜、リビングで寝てたらフローリングがカチャカチャいう音がして、あれっと思ったら透明のケンシロウがいて。「おいで」って言ったら来て、だっこしたら温もりもあって、ぺろぺろぺろってキスされて。テレパシーで「あんまり長くはいられない」って言われたんで、「じゃあ、一緒にいられるだけいよう」ってなでてたら、けっこう早い段階でスッと消えてしまった。今日も玄関のセンサーのライトがパチンと付いた。そういう日がそこそこあって面白い。
ケンシロウは物体・物質としてはいなくなっちゃったけど、いるのかなっていう感覚がある、とてもとても不思議な時間を過ごしてる、今。歌詞の中で、生きるとか死ぬとか命のこととか愛についてとか書いているけど、本当に説明しにくいものもあるなあ、って気がする。そんなの夢を見たんだろう、と言われても、実際その時間を過ごしたって感覚があるから。


ファンの方々も皆心配してくださって、皆さんの愛情でケンシロウもそれに応えようとして頑張って頑張って長生きしてくれたんだと思う。17年と5か月と10日という命を全うしたケンシロウに代わって、皆さんにどうもありがとうございました、という気持ちをお伝えしたい。
時間はかかるかもしれないけど、ケンシロウが何かの折にご挨拶に行くと思います。その時は「よう来たな!」って迎え入れてあげてもらえたら嬉しい。>



約2年半前に愛犬を亡くした時、私にも同じようなことが起きた。姿は見えなかったけれど、カチャカチャと彼がフローリングを歩く音や、チャリチャリと首輪の金具の鳴る音を何度も聞き、時に鼻先にふわりと彼の体臭を感じたりした。こういうことは多分誰の身にも起こりうることなんだろう。
でもある時からフっと気配が消えた。それでも私は彼が生きていた頃のように、ついトイレのドアを少し開けたまま入ったり(よく閉めたドアをカリカリ引っ掻いて開けろと言ったので)、食いしん坊の彼が気づかないよう冷蔵庫をそーーっと開けたり、なんてことを延々とし続けた。13年の間に沁みついた癖はなかなか抜けなかった。


やっと夢に現れてくれたのは、彼の死から半年くらい経った頃。「心配したけど、まあなんとか大丈夫だろ」、と思われたのか、その夢の中でまた彼を胸に抱くことができた。
よく人は亡くしたものに「夢でもいいから会いたい」というけれど、そのものへの想いが強ければ強いほど、彼らは夢に現れないそうな。それは、悲しみが癒えぬうちに夢に現れてしまうことで、残されたものが悲しみから逃れられなくなることや、後を追うようなことを望まないからだという。


「TU」の中に「天命さん」という曲がクレジットされているが、ケンシロウはまさに天命を全うしたんだろう。剛さんの一番大変な時期に彼の元に現れ、もう大丈夫というところまで、天から与えられた役目を果たし終え、満足してまた天に還った。それを剛さん自身も感じているから、こうも穏やかに今いられるのでは、と思う。


「水晶が音を記憶する、ってあると思う」と剛さんが言っていた。もしそうならば、剛さんが今ケンシロウから譲り受けた水晶は生前のケンシロウの波動を永遠にその中に留め、剛さんに力を与え続けることだろう。


ケンシロウ、お疲れ様でした。安らかに。